マインドフルネスプロジェクト は、2019年5月15日〜16日に株式会社 コンカーの従業員30名(マネージャークラス〜一般社員)にSIY の2日間プログラムを実施しました。


ここには書ききれないぐらいの嬉しい感想を寄せていただきました。
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(参加者感想一部抜粋)



・ 2日間、仕事から少し離れて、非常にPeacefulな時間を過ごす事が出来ました。日常的にジャーナリング、呼吸瞑想、マインドフルリスニングとマインドフルイーティングを実践していきたいと思います。

・ 職場、家庭、自身の趣味とあらゆる場面での活用がイメージできました。せわしい中でもふと数分、瞑想する時間を設け、自身と対話していけたらと思います。

・ 人生にインパクトのある研修でした。


・ 仕事でもプライベートでも、意識することで生活が変わっていきそうな事のキッカケを学べたと思います。  

・ 自分自身の思考について考えることをしてなかったことに気づかされました。

・ 瞑想で自分の思考を探る、感情を感じるという事は続けていきたいです。気づき、発見、学びが沢山あり、自分の価値観や人生観にも影響を与えて貰えたと思います。
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「サーチインサイドユアセルフ(SIY)」は、Googleが開発したリーダーシッププログラムです。

「脳科学」×「エモーショナルインテリジェンス」×「マインドフルネス」


最近の「脳科学」では、気付きや注意などの精神的活動が、脳に適切な刺激を与えることで、脳の機能と構造が変化することが確認されております。

「マインドフルネス」によって、この注意と気付きを鍛えることができ、心の知能指数である「エモーショナルインテリジェンス」の基盤となる自己認識力や自己管理力を高めることが脳科学で確認されています。




SIYは、この3つの要素

「脳科学」×「エモーショナルインテリジェンス」×「マインドフルネス」

を見事にブレンドし設計された人材開発プログラムです。SIYでは、どのクラスの人材においても仕事上ではリーダーシップが必要とされる場面があると考えております。

現在、リーダーのポジションにいるかどうかに関わらず、様々な場面でリーダーシップを発揮して、目の前のプロジェクトやタスクに対応できる能力を開発していくようにデザインされています。


プログラムの内容、講師の態度についても大変高くご評価をいただくことができました。
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(アンケート結果)

・ 全体的に見て、プログラムに満足した方は、「非常にそう思う」「そう思う」の合計100%。



・ 今回学んだことを自分でも実践できると思う方は、「非常にそう思う」「そう思う」の合計97%。



・ 今回学んだことは、自分が抱えている問題の解決に効果があると思う方は、「非常にそう思う」「そう思う」の合計97%。



・ 講師はSIYプログラムを効果的に伝えることが出来ていた方は、「非常にそう思う」「そう思う」の合計100%。


・ 講師は好奇心と思いやりを持ったオープンな態度で参加者に向き合っていた方は、「非常にそう思う」「そう思う」の合計100%。



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(クラインアント企業 コンカー社)
コンカー社は、出張・経費管理クラウドのサービスプロバイダーです。
コンカー社は、「働きがいのある会社」ランキング 従業員100〜999人部門で “1位” に、4年連続 ベストカンパニー受賞しています。従業員アンケートなどをもとに、「経営・管理者層への高い信頼感」「従業員の自主性への高い信頼感」「従業員は公平に扱われている」「温かく、思いやりのある文化」「風通しのよい社風」「仕事に行くことが楽しい会社」「仕事と生活のバランスが取れる環境」などの項目で高い評価を獲得し、「ベストカンパニー賞」を受賞しています。

急激な事業拡大を支える土台作りとして、社員、企業が相互に成長するための「高め合う文化」という企業カルチャー形成を推進しています。自分自身/同僚/上司の観点から双方向に、良いことも悪いことも含めフィードバックをする機会を定期的に設定。継続的、かつ積極的に意見交換を行うことで、お互いのスキルや考え方を高め合い、社員個人と企業の成長を促進し、ひいてはお客様のビジネスの成長を支援することを目指しています。

マインドフルネスプロジェクト は、合同会社こっからとのジョイント企画で、株式会社Fusicの幹部候補社員6名を対象に3ヶ月(3月、4月、5月)の次世代リーダーシップ研修を実施しました。Fusic社は、福岡を拠点にWebシステムの開発やコンサルティングを中心に事業を展開しているエンジニアリング企業です。

研修の詳細は、「コラムVol.6」〜「Project; BlueZone」次世代リーダーシップ研修をご覧ください。

マインドフルネスプロジェクト は、合同会社こっからとのジョイント企画で、株式会社Fusicの幹部候補社員6名を対象に3ヶ月(3月、4月、5月)の次世代リーダーシップ研修を実施しました。Fusic社は、福岡を拠点にWebシステムの開発やコンサルティングを中心に事業を展開しているエンジニアリング企業です。




マインドフルネスプロジェクト は、健康的なライフスタイルを構築する中で、内省を深めていくプログラム「Project; Blue Zone」プログラムを提供しました。健康的なライフスタイルを構築する上で基本となる「運動」「睡眠」「食事」「メンタル」の切り口からそれぞれ実践アイテムを紹介し、実践を通じてヘルスリテラシーを高めるとともに、そこから生まれる内省を通じて自分のあり方や自分の中にあるニーズにアクセスしていきます。合同会社こっからが提供する、U理論、NVCプログラムと組み合わせ提供することで、リーダーとしてのあり方を探る次世代リーダーシッププログラムです。



3ヶ月間で、参加者の中に生まれる様々な気づきが生まれ、それぞれに内省を深めることができました。参加者からはポジティブなフィードバックが届いており、一部抜粋して紹介します。


(参加者感想一部抜粋)

・研修が終わるんだなあというのが単純に寂しい。

・3回の研修受けさせてもらってめちゃくちゃ良かったという率直な感想。 この研修が終わるとともに消えるとやだなあというのがあるので、 1年2年当たり前のように持続できるように楽しめたらいいなと思ってます。

・ 2ヶ月とは思えないほどいろんなことがありすぎて、少なからず自分の中に良い変化が起きた。 これを忘れずに行きたいな。

・ すごく良かったですということで終わるんですけど、 ものすごく自分の人生の財産を作れたなあというような感じがしている。

・ ここのメンバーが熱が熱いので、前回前々回のメンバーに波及してコミュニケーションが深まると良いな。 そんな期待とかを感じながらこの研修を終われたら良いな。


Project; Blue Zoneは、ライフスタイル構築という作業を通じてリーダーに求められるプレゼンシングを高めていくことで、健康的で元気なリーダー“BlueZoneリーダー”を育成していくプログラムです。過去の選択の積み重ねが今の自分であり、これからの選択の積み重ねが将来の自分を作っていきます。自分が描く将来の理想とするリーダー像に自分がなれるかどうかは、自分の選択にかかっています。健康も病気の元も日々の選択の積み重ねによって作られます。


Project; Blue Zoneは、健康的なライフスタイルを自ら構築し自分のあり方を自覚した人材を育成していくことが大切であると考えます。最初からフルマラソンを走ろうとするのではなく、5キロ、10キロと徐々に距離を延ばし、完走できる身体作りをしていくのと同じように、長期的な視点で健康的なライフスタイルに近づけて行きます。今までの過去の経験や考え方に基づく習慣は、大脳基底核や大脳辺縁系、いわゆる潜在意識が働くため、変えようとしてもなかなか簡単に変えることはできません。一方で内省を通じて、大脳辺縁系と大脳新皮質のコミュニケーションがよくなり、心を開き潜在意識にアクセスすることで、過去の習慣を手放し健康的なライフスタイルに変えていくことが可能です。Project; Blue Zoneは、今のライフスタイルを劇的に変えようとするのではなく、できることから少しずつ取り入れ、小さな成功体験を積み重ねることで健康的なライフスタイルを構築していきます。


従業員の病欠、休職者のための傷病手当、退職者の増加、欠員による採用などは、企業活動に支障をきたすだけでなく、企業利益を圧迫するコスト要因となります。健康的な意識を持ちプレゼンスを高めたBlue Zoneリーダーが誕生すれば、これらのリスクを回避することができるだけでなく、コミュニケーションの円滑化が図られ組織の活性化も期待されます。通常の健康法は、理論は示しますが、実践のフォローまではなかなかありません。食事であれば栄養素の過不足、運動であれば有酸素運動などのアプローチが主流です。



Project; Blue Zoneは、実践を重視します。日々のライフスタイルの中に取り入れるアイテムを提供し、Slackを活用したフォローアップとモチベートを通じて実践の場を提供します。このメソッドは、個々人のメンタリティ、価値観、個性の違いを考慮した手法であり、劇的に全てを変えようとするのではなく、自分が変わって行くプロセスを感じながら、長期的な視点に立ってライフスタイルを自ら作っていきます。自らの健康を管理し健康的なライフスタイルを構築していくことは、リーダーの資質に必要とされるプレゼンシングを育んでいくことにも繋がります。


(※Blue Zoneは100歳を超えても元気に生きている人たちの割合が多い地域で彼らのライフスタイルを調査したプロジェクトです。)

2019年4月3日に、ビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)麹町校舎で開催されたタレントマネジメントのセミナーレポートです。

「勘と経験」からデータ・ドリブンの人事へ〜人事データを活用して社員の才能を引き出すタレントマネジメントの世界〜

このテーマに30名ほどの参加者が集まりました。BBT大学の在学生や卒業生が多く、ベンチャー企業の経営者も参加していました。スピーカーは、BBT大学経営学部准教授で、株式会社サイダス執行役員の諸橋峰雄さん。

タレントマネジメントについて解説する諸橋さん


事前課題:ハーマンモデル「効き脳」



ファシリテーター伊藤の効き脳は、戦略家思考タイプ


事前課題として、ハーマンモデルの簡易版に答えて「効き脳」の把握がありました。

ハーマンモデルは、GEの能力開発センター所長であったネッド・ハーマンが、ビジネス環境のために開発した、人の「利き脳」を知るための手法です。「利き腕」や「効き目」があるように、脳にも「効き脳」があり、その人の思考の特性を決めるものと考えられています。そして、各人の思考の特性は、その人のコミュニケーションや、意思決定、問題解決、マネジメントスタイルなどあらゆることに影響を及ぼしていると考えられ、大きく4つのタイプに分類されます。

ハーマンモデルの「効き脳」4タイプ



  • ・Why を発見する戦略家タイプ
  • ・Whoと過ごす協調家タイプ
  • ・Whatを理解する分析家タイプ
  • ・Howを適用する実務家タイプ


アイスブレークのワークとして、効き脳のタイプごとに分かれそれぞれの「トリセツ」を作成しました。戦略家グループの「トリセツ」は、以下のような内容でした。

  • ・(得意なこと)− 妄想する、新しいことを考える、整理する、聞く
  • ・(苦手なこと)−細かい作業、指図されること
  • ・(仕事の進め方)−まずやってみる
  • ・(やる気スイッチ)−褒められる、新しい人やアイデアと出会う、権限



ハーマンモデル 「効き脳」4タイプの思考癖



タレントマネジメント 「人選ワーク」


このハーマンモデルを踏まえて、人選のワークがありました。以下のリスト5名の中から幹部候補を1名、新規事業リーダーを1名選びます。このデータに加え、どんなデータが加われば何が更に分かるようになるかを考えます。

人選リスト


このワークの要点は、「人選」という思考プロセスを通じて自分たちの中にあるバイアスを知ることと、選ぶ前にどのような幹部、リーダーが望まれているかを描けたかを知ることです。


このデータだけでは、事業内容はもちろん、企業フェーズがどの段階で、どのような企業文化があるのか、各候補者の年齢や職歴も分かりません。人選に限らず何かを決めるときには、全てのデータが揃っているとは限りません。限られたデータの中で、どのように最適な解を選んでいくかは、データを活用する人の能力と感性に掛かってきます。


例えば、「幹部であれば、戦略思考であるべきだ」と考えれば、幹部としては必然的にAを選出することになります。他の要素が加味されない、まさにバイアスがかかった状態と考えられます。


また、今あるデータの中で人選に必要のないデータは排除する必要もあります。例えば、幹部選出には現在の所属部門はあまり考慮しなくても良いかもしれません。


このように自分たちのバイアスに気付きながら、データの是非を問いながら、人選という作業をしていくことが必要であると、講師の諸橋さんから説明がありました。


そして、そもそもタレントマネジメントの人選において大切なことは、そのポジションに望まれる人物像をまずは描けるかどうか、だという説明がありました。その人物像が描けなければ、どんなにデータが揃っていてもそのデータを生かしきることができず、好ましい結果には結びつかないとのことでした。


このワークでは、データを活用したタレントマネジメントにおいて、自分たちが成し遂げたいターゲットを明確にすることの重要性とデータの見方、自分たちの中にあるバイアスの存在を把握することがよく分かりました。


それでは、タレントマネジメントの世界を具体的に見ていきましょう。

タレントマネジメントとは?



タレントマネジメントとは


タレントマネジメントは、組織内のライフサイクルを統合的に扱う方法論、および関連するシステムのことで、採用、目標管理、評価、人事戦略、後継者育成まで、そのカバーする範囲は非常に多岐に渡ります。タレントマネジメントを導入するに当たって、どの領域で何をしたいかのターゲットを明確にすることが、タレントマネジメントの入口になります。

人事の役割の変化



組織ステージと人事の役割


タレントマネジメントが注目されている背景には、人事の役割の変化があります。


世の中の民間企業には、業績目標があり、それを合理的かつ効率的に達成していくことを目指す「達成型組織(オレンジ)」が多い中で、「ティール組織(濃い緑)」のような成功モデルが取り上げられるようになりました。「ティール組織」は、生命体のような有機的な組織モデルで、上下関係や、管理が少ない環境で、チームワークが発揮され、組織の存在目的を追求していきます。このような組織形態の変化とともに、人事部門の役割にも変化が現れています。


トップダウンで指示したり、計画と管理を重んじる「組織目線」の人事から、社員を巻き込み、社員の満足度を向上させる「Engagement」や必要な場や環境を提供し社員の自立を促す「EmpowerExperience」を重視する「個人目線」の人事へとその役割が変わってきています。

Engagementと生産性


Gallup社の調査によれば、Engagementが高まると生産性や利益が22%向上するという結果が出ています。Engagementとは、会社と従業員の結びつきのことで、従業員が会社に対して愛社精神を持ったり、仕事への愛着心を持ったりすることで会社と従業員が共に成長していく関係を表しています。

日本企業のEngagementスコアは低い




日本企業のEngagementスコアは低く、グローバル平均が65%に対し、日本企業は40%弱です。Engagementが高ければ、優秀な人材の流出を止めることができます。2018年のラスベガスで開催されたHRTechカンファレンスで発表された内容を元に、世界のCEOの関心事は、「トップタレントの獲得とその維持」であり、そのためにはEngagementを高めるタレントマネジメントが必要であると説明がありました。

世界のトレンドと日本の現状




グローバルではHRTech市場は伸びており、米国では2014年15億USD、2015年24億USDが投下されており、2014年から2017年までに合計55億ドルのベンチャーキャピタル投資が行われています。主なツール導入の目的としては、リクルーティング、eラーニング、評価管理、新メンバーに組織の文化やルール、オン・ボーディング・プログラム(仕事の進め方などにいち早くなじませ、パフォーマンスを引き出すための教育・訓練プログラム)、人事戦略、給与査定などがあります。


一方、日本ではタレントマネジメントシステムを導入している企業は13%で、検討している企業を含めても3割弱という状況です。導入目的としては、社員プロファイル、人事考課、目標管理、キャリア開発、スキル管理、研修管理などです。

HRTeckのトレンド


HRTechのトレンドは、主に6つです。

・Slackが企業内でのコミュニケーションツールとしてデファクト化しており、Slack上のデータがシステムに流れるようになっていて、データ収集及び管理においてSlackが重要視されています。

・モバイルでの活用が優先されています。

・自動化されたタスクを実行するボットの活用度が増しています。ボットの活用により、従業員の経験が高まり、仕事の流れを可視化、整理することが可能となり、仕事の流れそのものが変わります。

・AIが実用段階にきています。一つの事例として、画像認識で応募者の顔の表情を読み取り、その人の性格まで読み取り採用可否を決定するツールが開発されています。

・採用分野においては、日米で共通項目が多く、ツール開発においては自動化、効率化、高精度化が図られています。

・分析とプラットフォーム化が進んでいます。今まで勘や経験に頼っていた、配置転換などをや1on1の実施をデータ分析に基づいて判断します。



期待される効果



データの格納、説明から予測、対策へ


今まで勘と経験に頼っていた人事事項において、タレントマネジメントシステムを導入することで、予測や対策がしやすくなることが期待されています。ガートナーのレポートでは、人事の予測分析をする企業は、利益を2割増やすと報告しています。そのような期待がされる一方で、現状は必要なデータが不足していたり、この分野の人材が不足しているために、なかなかツールの導入までに至っている企業は少ないのが現状です。

データの収集状況

タレントマネジメントの実現のために




タレントマネジメントの実現のためには、何が必要なのでしょうか。


運用において抱える悩みは顧客毎にそれぞれで、かつ悩みはひつとではなく様々な悩みを抱えているケースが多いです。タレントマネジメントを導入するに当たって、まず取り組むべきは論点整理です。

  • 人事課題は何か
  • 課題に対してどのようなデータが必要か
  • 今のデータで何がわかり、何が分からないか
  • データの収集、管理方法
  • どのように人材を可視化するか
  • どのように育成、配置、採用に使えるか


以上のような論点を整理し、システムの運用、流れを理解することがタレントマネジメントの実現のはじめの一歩であり要点になってきます。

仮説検証サイクル


タレントマネジメント運用の成功の鍵は、仮設の設定と検証を繰り返すサイクルをまわすことです。データを「作る」「見る」「活かす」の3ステップを繰り返すことで実現できます。

・「作る」− どのようなデータを集めるかを考え、実際にデータを収集、更新し、一元化します。

・「見る」− 蓄積されたデータを加工処理して可視化します。

・「活かす」− 可視化されたデータを元に分析し、意思決定を行い、実行します。




例えば、残業が多い部署に対するアプローチとして、担当者の能力、業務内容、組織文化という切り口でデータ分析を行い、必要なスキルの向上策、配置転換、業務配分の見直し、情報共有の効率化、上司への指導、評価指標の見直しなどの対策を浮き彫りにします。

まとめ


タレントマネジメントは、目的とゴールが大事です。そのカバー範囲は広いためまずは成功イメージを描き、そのイメージに対し「今ある」データでできることを考えます。その上で必要なものを揃えていきます。また、現状の企業フェーズ、人事フェーズに合わせた施策を適用する必要があります。システム導入や理想論だけではタレントマネジメントは実現できません。そして、スモールスタートで「作る」「見る」「活かす」の仮説検証サイクルを回し、データを蓄積して精度を上げていきます。タレントマネジメントは、日本ではまだまだこれからの分野ですが、雇用慣行や社会制度の枠組みが変化していく中で、今後注目される人事戦略の一つとなっていくでしょう。

2019年3月15日に、紀尾井町Yahoo!ジャパン本社(以下Yahoo!社)Yahoo! Lodge で開催されたセミナーのレポートです。

「マインドフルネスが組織と人をどう変えるか」

このテーマで参加者は100名ほど。企業向けのマインドフルネスに対する関心の高さが伺えました。ビジネスシーンにおけるマインドフルネスに対する認知度が高まってきているように感じられます。

<トークセッション登壇者>
中村悟さん(ヤフー株式会社マインドフルネス・メッセンジャーズ)
荻野淳也さん(MiLI代表理事)

ダボス会議で注目されるEI

冒頭にMiLIの代表理事、荻野淳也さんから、「今、必要なビジネススキルはEIである」と説明がありました。EIは、Emotional Intelligenceの略で、「心の知能指数」のことです。

EIの提唱者として知られるダニエルゴールマンは著書「Working with Emotional Intelligence」(1998年。邦訳『ビジネスEQ―感情コンピテンスを仕事に生かす』東洋経済新報社)の中で、EIを以下のように定義しています。

自分と他人の感情を認識し、自分をモチベートし、自分の感情を自己の内面においても人間関係においてもコントロールする能力

Working with Emotional Intelligence」


2016年1月のダボス会議では、EIが2020年に必要なスキルのランキングトップ10の中で紹介されています。統計や論理、根拠といった知性はAIのほうが得意になっていくことが予測される中で、人間は、AIにはできない情緒的な知性EIをスキルとして身につけていくことが求められているということです。


Yahoo!社の取り組み

現在Yahoo!社では、社員7000名中、1000名の方が何らかの形でマインドフルネスを経験しているそうです。1000名の内400名が7週間のプログラムに参加し、600名が体験プログラムに参加しています。Yahoo!社では、2016年夏から取り組みを開始し約2年半でこの数字ですから、かなりのハイペースでマインドフルネスが社内に浸透していることになります。この背景には、マインドフルメッセンジャーズなるボランティアベースで社内でマインドフルネスを広める活動をしている方たち7名の貢献が大きいようです。強制でなく、必要性を感じるボランティアでこのような活動をサポートしていくのが、自然な流れで社内に浸透していく秘訣に感じられました。





プレゼンティズムの改善事例

プレゼンティズムの測定


最初に紹介されたデータが「プレゼンティズム」の改善事例です。


「プレゼンティズム」は、会社に出勤しているのだけれど、健康上の問題で労働に支障をきたし最善の業務ができなくなる状態です。「プレゼンティズム」は、目に見えない性質から、欠勤や早退などで職場に出勤せず、業務につけない「アブセンティズム」より、労務管理が難しいと考えられています。


Yahoo!社の取り組みでは、マインドフルネスの実践により「プレゼンティズム」が改善したという報告がありました。マインドフルネスを週3回以上実践している人は、マインドフルネスを実践しない人に比べ「プレゼンティズム」が約4割も改善したようです。健康経営の枠組みにおいて、医療費削減のみを目的とするのではなく労働生産性の改善という視野に立てば、この数値は非常に励みになります。

2つの問い


本セミナーでは、「メタ認知」「EI」についての2つの仮説を主観データを元に分析し、検証していきました。


1. マインドフルネスとメタ認知の関係は?

2. マインドフルネスとEIの関係は?


この2つの問いに対し、様々なデータが示されました。

「マインドフルネスとメタ認知の関係」

実践頻度とメタ認知の程度

こちらのデータでは、マインドフルネスの実践頻度とメタ認知の程度が示されています。


週3回以上実践している人は、メタ認知ができていることが良く分かります。一方、実践していない人の6割がメタ認知ができていない状況です。メタ認知は、「認知を認知する」ことであり、“自己の認知活動(知覚、情動、記憶、思考など)を客観的に捉え、評価した上で制御すること”を意味します。メタ認知能力が高ければ、自分自身を客観的に把握することができ、上手く自分自身をコントロールすることができます。


ビジネスシーンの様々な状況の中でメタ認知が発揮され冷静に行動を取ることができれば、集中力高く業務に取り組めたり、ビジネスパートナーとの円滑なコミュニケーションができたり、卓越したリーダーシップを発揮することが可能になります。メタ認知は、本セミナーの主題でもあるEIの基盤となるものになります。このデータでは、そのメタ認知をマインドフルネスの実践により高めていくことができることが示されています。


実践頻度とネガティブ感情の程度

次に示されたのが、実践頻度とネガティブ感情の程度です。


マインドフルネスを週3回以上実践している人の約4割がネガティブな感情にあまり囚われないのに比べ、週1−2回の実践者はこの割合が約1割強に低下します。マインドフルネスの実践頻度がネガティブ感情に影響を与えていることがよくわかります。マインドフルネスの実践でネガティブな感情をうまく手放せていると言えます。

一方で、それ以外の実践頻度が少ない人達もしくは未経験者のネガティブ感情に囚われない割合が週3回以上の実践者とほとんど変わらない結果となっております。これはどういうことでしょうか。この疑問に答えてくれるのが次のスライドになります。


実践頻度×メタ認知×ネガティブ感情


このグラフは、実践頻度とメタ認知、ネガティブ感情をクロス分析した結果になります。


メタ認知できている人は自分のネガティブ感情の状態に気づいており、ネガティブな感情にとらわれるかどうかを自分自身が把握することができると考えられます。マインドフルネスを週3回以上実践する人たちは、メタ認知が働き、かつネガティブな感情を手放すことができているという風に考えられます。

マインドフルネスを週1回実践する人たちは、メタ認知はできているけれど、ネガティブな感情をうまく手放せないでいるという結果になっています。これは、メタ認知ができているからこそ、自分のネガティブ感情の状態をきちんと観察できている結果と考えられます。

一方でマインドフルネスを実践していな人たちはメタ認知が働かず、自分のネガティブな感情に気づいていない可能性が考えられます。ネガティブ感情があることに気づいておらず、ネガティブ感情がないと思っている状態と考えられます。


1つ目の問い「マインドフルネスとメタ認知の関係」については、以上のデータ分析の結果、「週1回以上の実践で、メタ認知や感情の度合いも高まる」という結論になりました。

日本は現在EIのスコアが世界最下位

出典:シックスセカンズジャパン EQスコア世界最下位の日本


日本は現在EIのスコアが世界最下位のようです。これは、​EIの活用を広めているSix Seconds社のデータです。以下は、​シックスセカンズジャパン社のHPより抜粋です。


Six Secondsが開発したEQテストSEIは、2019年1月までに160の国や地域で、約26万人が受検。Six Secondsは、世界各国の受検者のEQスコア(X軸)と、WHO世界保健機関が発表している「ヘルスケアへのアクセス」「メンタルヘルスアへのアクセス」「幸福度」を合わせたNational Wellbeing Metrics(国別健康指標;Y軸)によってクロス分析を行い、EQスコアと健康水準に相関があることを発見しました。同時に、日本のEQスコアは世界最下位、健康水準はメンタルヘルスへのアクセスの低さ、幸福度117か国中54位という背景から、中央値を下回りました。経済的に発展し、街のインフラが整備されてきたこの国において、心のインフラが整っていないこと、心を整える知識や知能を多くの日本人が活用していないことが明らかとなりました。

(シックスセカンズジャパンのHPより抜粋)


「マインドフルネスとEIの関係」

EIと成功要因の相関性



EIの高さと成功要因の高さの相関性が示されました。Yahoo!社の取り組みでは、EIが高いほどリーダーが成功しているが示されています。


出典:シックスセカンズジャパン Six SecondsのEIモデル


Six Seconds社のEIモデルではEIの構成要素として8つの項目があります。


「感情リテラシー」「自己パターンの認識」「結果を見据えた思考」「感情のナビゲート」「内発的なモチベーション」「柔軟性の発揮」「共感力の活用」「ノーブルゴールの追求」




Yahoo!社の取り組みでは、マインドフルネス週3回以上の実践者のEI値が日本平均を大きく上回る結果となりました。画像の青い点線が日本平均、赤い点線が週1回以下の実践者、赤い実線が週3回以上の実践者のデータとなっております。週3回以上の実践者は、8つの項目全てにおいて日本平均を上回っています。


2つ目の問い「マインドフルネスとEIの関係」については、以上のデータ分析の結果、「週3以上の実践で全体的にEIのスコアが高まる。特に自己パターンの認識に差が出る。」という結論になりました。


現場の声


最後のトークセッションでは、マインドフルネスを実践している現場のビジネスリーダーのコメントが印象的でした。


「部下ができないことは言わない」


部下ができないことは指摘せず、本人の気づきを待つ姿勢で部下とコミュニケーションをしているとのことでした。上司は部下に対して、「◯◯ができないから駄目なんだ」と考えがちですが、そのことを伝えたところで、必ずしも部下の行動には結び付かないということです。大切なのは、できないことを指摘するのではなく、本人が自ら気づき行動することを待つということです。指摘されない部下は、もどかしさを感じながら自ら発展的にもがき、成長していくとのことでした。


「自分の感情を押し付けない」


自分が焦っている時に、その焦っている感情を伝えたところで成果には結びつかないとのことでした。


「すごく落ち着いて物事を考えられるようになった」


難しい選択を迫られた時に、一呼吸を置いて考えると別の考えが浮かぶようになってきたとのことでした。一晩考えると、全く逆の考えが思い浮かび、最適な選択肢を見つけられることがあるということでした。

まとめ



1. マインドフルネスとメタ認知の関係は?

→ 週1回以上の実践で、メタ認知や感情の度合いも高まる」


2. マインドフルネスとEIの関係は?

→ 週3以上の実践で全体的にEIのスコアが高まる。特に自己パターンの認識に差が出る。」


今回のセミナーでは、マインドフルネスの実践により、プレゼンティズムが改善し、感情のコントロールが上手くなり、EIが向上することが、データで示されました。Yahoo!社の活動を通じて見えてくるマインドフルネスの可能性には勇気付けられます。今後、人材育成やリーダシップ開発にマインドフルネスを導入する日本企業が増えいていくことでしょう。

海馬〜記憶と空間認識、感情制御の調節〜

Vol.2でお伝えしたように、脳には神経可塑性があり、損傷した脳細胞を修復したり、新しく神経ネットワークを形成したりすることが可能です。マインドフルネスの実践により神経可塑性が促され、脳の機能と構造が変化することが、複数の脳科学研究により明らかになってきました。

 

この背景には、fMRIなど医療測定器の神経画像技術の発達があります。これらの医療測定器を活用して、灰白質(中枢神経系で神経細胞の細胞体が存在している部位)の体積を測定したり、皮質(大脳の表面に広がる、神経細胞の灰白質の薄い層)の厚さを測定したりすることが可能になり、マインドフルネスが脳に与える影響を可視化して確認することができるようになりました。

 

Vol.3では、海馬についてお伝えします。海馬は、記憶に関わる領域と認識されている方が多いかと思います。海馬は、30秒くらい継続する短期記憶を担っています。短期記憶は、何かの作業をするために短い時間だけ覚えておく必要のある記憶で、その作業が終わってしまえば忘れてしまうもので、ワーキングメモリ(作業記憶)とも呼ばれます。実は、海馬は記憶以外にも知覚プロセスにおける重要な役割を果たしており、学習や感情制御の調節に関与していることが知られています。感情の調節に寄与していることから、継続的なマインドフルネスの実践によるこの領域の構造的変化は、感情的反応を調節する機能の改善を反映すると考えられています。

 

例えば、マインドフルネスを実践することで、海馬の灰白質の体積が増大することが確認されています。マインドフルネスの脳研究で有名なハーバード大学のサララザー教授によれば、8週間のマインドフルネスの実践により海馬の灰白質が5%増加し、萎縮していた海馬が回復したことが確認されています。海馬は、記憶と空間認識、感情制御の調節をする領域と考えられ、Vol.2でお伝えしたロンドンのタクシードライバーの神経可塑性の研究の対象となった領域です。

 

左海馬の体積が5%増加

この事例は、2010年にマサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学部等が実施した研究結果です。健康な瞑想未経験者16人が8週間のマインドフルネスプログラム(MBSR)を実践し、その前後にfMRIで画像解析を行い17人の非実践者と比較するという研究内容です。結果は、マインドフルネスの実践前後で、左海馬内の灰白質体積が5%増加したことが確認されました。海馬の構造が変化しているという結果は、学習および記憶プロセス、感情調節、自己参照処理を改善することを示唆していると考えられています。また、同研究で、実践者たちの後帯状皮質、側頭頂接合部、および小脳の灰白質濃度の増加が確認されています。

 

記憶や学習、空間認識に関わる部位である海馬は、知覚プロセスにおける重要な役割も果たしており、感情制御の調節にも関与していることが知られています。記憶機能においては、ワーキングメモリ(作業記憶)と呼ばれる30秒くらい継続する短期記憶を担っています。短期記憶は、何かの作業をするために短い時間だけ覚えておく必要のある記憶で、その作業が終わってしまえば忘れてしまうものです。マインドフルネスの実践によるこの領域の構造的変化は、記憶力や学習プロセスを向上させ、仕事の作業効率を高めたり、迅速で正確な意思決定をする上で必要となる判断力を向上させたりすることが見込まれます。

 

(研究事例1 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3004979/

 

時期 2010年
実施者 マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学部、ギーセン大学(独)他
被験者 MBSR(※)参加者16人と非参加者17人、平均年齢38歳
内容 MBSR8週間プログラム(平均27分/日)実践前後のMRIデータを解剖学的に分析
結果 左海馬、後帯状皮質、側頭頂接合部、および小脳の灰白質の体積増加を確認した。
考察 MBSRへの参加が、学習および記憶プロセス、感情調節参照処理に関わる脳領域を増加させると考えられる。

(※) MBSRは、Mindfulness Based Stress Reductionの略で、米国で最も普及しているマインドフルネストレーニングプログラムの1つ。

 

 

右海馬の体積が増加

この事例は、2009年にUCLA医科大学とイエナ大学が実施した研究結果です。マインドフルネスの長期実践者の脳の構造変化を解剖学的に分析した結果、右海馬及び右眼窩前頭皮質の灰白質の体積が有意に増加したことが確認されました。記憶や学習プロセスに関わる海馬は、感情の調節にも関与していると考えられています。感情に対する反応を上手に調節することができない人は、海馬の機能障害を有する可能性が示唆されており、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などのストレスが原因となる心の病は、海馬の密度または体積の減少に関連していると考えられています。マインドフルネスの実践による海馬の構造的変化は、感情反応の調節を改善することで、肯定的な感情を育成し、安定的な感情を保ち、注意深い行動を可能にし、ビジネスシーンで必要とされるコミュニケーションの向上や信頼関係の構築に寄与すると考えられます。また、感情のコントロールが上手になりストレスマネジメントにも有効であると考えられます。

 

(研究事例2 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3184843/

 

時期 2009年
実施者 UCLA医科大学、イエナ大学(独)
被験者 マインドフルネス長期実践者(5年〜46年)22人と非実践者22人、平均年齢53歳
内容 ハイレゾMRIデータを活用し長期実践者の脳構造の変化を解剖学的に分析
結果 右海馬及び右眼窩前頭皮質の灰白質の体積が有意に増加した
考察 右海馬及び右眼窩前頭皮質は、感情調節および反応制御に関与しているため、マインドフルネスの実践により肯定的な感情を育成し、感情の安定性を保持し、注意深い行動をとる能力と習慣を養うことができると考えられる。

 

 

記憶力に効果

この事例は、2018年にマサチューセッツ総合病院が実施した研究結果です。4週間のマインドフルネスの実践で、記憶力の向上が確認されました。4週間プログラムには、6つのマインドフルネスのプログラムと3つのライティングのプログラムが含まれ、マインドフルネスプログラム参加者50名とライティングプログラム参加者29名に分けられ、ランダムな順序で各プログラムが提供されました。ウェブベースで1時間のクラスが週4回行われ、参加者はウェブカメラを介して先生や他のグループメンバーとコミュニケーションを取ることができます。また、両方のプログラムの参加者は、Webポータルを介して、1週間に5回、30分間の自己練習を求められます。

 

記憶力を測るタスクは約20分かけて行われ、コンピュータを使用して合計144回のテストが繰り返されます。1秒間のポーズ後、2秒間 6文字のアルファベット(①)がディスプレイに表示され、記憶するよう求められます。次に3秒間のポーズ後、2秒間アルファベット1文字が表示され、6文字のアルファベット(①)と一致するかどうかを判断します。次に5秒間のポーズ後、新たな6文字のアルファベット(②)が表示されます。この②の6文字は、①で表示された3つの文字と新規の3つの文字から構成されます。次に3秒間のポーズ後、4つのアルファベットが表示され、①と②両方に表示された文字、①にのみ表示された文字、②にのみ表示された文字、①と②どちらにも表示されなかった文字を分類、判断します。

 

このようなプログラムとタスクを実施した結果、4週間のマインドフルネス実践者のタスクエラー率がライティングプログラム参加者よりも低く、マインドフルネスの実践が記憶力に効果があることが確認されました。

 

(研究事例3  https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11682-018-9858-4

 

時期 2018年
実施者 マサチューセッツ総合病院
被験者 マインドフルネスプログラム参加者50名とライティングプログラム参加者29名、平均年齢27歳
内容 4週間のWebベースのマインドフルネストレーニングプログラム(週4時間のクラス、30分/日の自己練習)またはライティングプログラムに参加後、記憶力評価タスクを実施し、海馬の体積変化率をMRIで評価
結果 マインドフルネスプログラム参加者のタスクエラー率はライティングプログラム参加者に比べ有意に低く、プログラム後の海馬の容積変化率は有意性を示さなかったものの、左海馬の体積増加と相関関係を示している。
考察 マインドフルネスの実践が、推論、学習、および問題解決に不可欠な能力である作業記憶の向上に有効であり、左海馬の体積増加が関連していると考えられる。構造的な海馬の変化にはより長い期間の実践が必要と考えられる。

 

 

マインドフルネスの実践が海馬を活性化

このように、マインドフルネスの実践が、海馬を活性化し、その機能と構造を変化させることが、研究結果で示されております。このコラムで記載している研究結果以外にも、マインドフルネスの実践が海馬に影響を与えていることを示す様々な研究結果が報告されています。

 

海馬は、記憶や学習、空間認識に関わる領域で、マインドフルネスの実践により、記憶力や学習プロセスが向上し、仕事の作業効率を高めたり、迅速で正確な意思決定をする上で必要となる判断力を向上させたりすることが考えられます。また、海馬は、感情の調節にも関わっており、マインドフルネスの実践により、感情反応の調節を改善し、肯定的な感情を育成し、安定的な感情を保ち、注意深い行動を可能にし、ビジネスシーンで必要とされるコミュニケーションの向上や信頼関係の構築に寄与すると考えられます。また、感情のコントロールが上手になりストレスマネジメントにも有効であると考えられます。

脳内ネットワーク

マインドフルネスの効果を考える上で、脳の働きや構造を抜きには語れません。脳は寝ていても目覚めていても様々な情報を受け取り、四六時中働いています。情報というのは、主に電気信号や化学物質(神経伝達物質)になるのですが、これらの情報が脳の中の約千数百億個の神経細胞で常時受け渡しが行われています。この情報の受け渡しの頻度が高くなってくると、その神経細胞同士のつながりが濃くなっていき、脳内に神経のネットワークが形成されていきます。
例えば、自転車を乗れるようになるためには、最初は補助輪を付けたり、誰かに支えてもらったりしながら、工夫や練習を重ねることで段々とバランス感覚が養われていきます。時には倒れたり、転んだり、上手く乗れないながらも、繰り返し練習をしていくと、脳の中では自転車を乗るのに必要な、運動やバランスに関わる領域のネットワークが刺激され、ネットワーク間の情報の受け渡しが安定的に行われるようになり、やがて自分自身の力で自転車に乗ることができるようになっていきます。繰り返し脳に刺激を与えることで、脳は学習していき、神経細胞がネットワークを構築していきます。脳はその時の動作やそれに伴う感情、感覚を覚えていき、より機能的に反応するようになり、脳の構造自体が物質的に変化をしていきます。

 

プラスチックのような脳

このように刺激に対して、脳の機能や構造が変化していくことを「神経可塑性」と呼び、神経には環境に応じて柔軟に変化する力がある性質のことを表現しています。神経可塑性は、英語でNeuroplasticityと表記されます。Neuro(ニューロ)は「神経」を意味し、plasticity(プラスティシティ)は形状が変わるプラスチックのように「適応性があって融通のきく性質」を意味します。ペットボトルのようなプラスチック製品は、材料に熱を加えドロドロに溶かし、型にはめて、冷却して固形化していきます。材料をドロドロに溶かす加工工程を可塑化(プラスティシティ)と表現するんですね。

 

「あなたの脳はプラスチックでできている?!」という本ブログのタイトルは、「脳の材料がプラスチックですよ」ということではなくて、「脳はプラスチックのように形と機能が変わりますよ」ということを意味しています。脳はプラスチックのように柔らかい状態であり、刺激を加えることで、段々とそのネットワークが活性化され、その機能や構造が発達していくのです。

 

「脳細胞は死んでいくだけ」は過去の話

脳は千数百億個の神経細胞が互いにつながりあい、神経回路を構築することで特定の機能を発揮します。この神経回路は3歳ごろまでに劇的なスピードで作られ、柔軟に変化させながら9歳ごろまでにその土台が作られていきます。その後も神経細胞がつながり、20歳ごろには、脳神経のネットワークが完成します。

 

1990年代頃まで従来の脳科学において、神経可塑性は幼少期に終了し、成人してからは神経可塑性が働かず、脳は固定的で、機械的で、確実に衰えていくものだと考えられていました。「脳細胞は死んでいくだけ」というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、神経画像技術が発達し、fMRI(機能的磁気共鳴装置)などの医療測定器が開発されたことにより、様々な科学的な研究が進展し、この考え方が覆りました。近年の科学的な研究の結果、脳の実際の姿は全く異なり、驚くほど変化する力があり、何歳になっても神経可塑性が働き学習や経験を生かして、脳は新しいネットワークを形成し、発達していくことが明らかになってきたのです。頭に浮かんでは消える思考レベルの、表層的な変化ではなく、脳の物理的な構造において、変化が現実に起きることが確認されています。

 

例えば、従来は自動車事故などで脳が損傷し、神経細胞やシナプス(神経細胞同士のつながり部分)が失われると、損傷した神経細胞が回復することはなく残された脳機能を駆使するしかないと考えられてきました。しかし、最近の研究では、損傷によって喪失した神経細胞とシナプスが、近隣の神経細胞によって補われ、失われた神経細胞間の接続が回復し、傷ついた神経ネットワークが再生されることが分かってきております。

 

ロンドンのタクシードライバーはカーナビ以上?!

(研究事例1)

時期   2000年

実施者  ロンドン大学

被験者  タクシードライバー 16人と非タクシードライバー50人(対照群)、平均年齢44歳

内容   タクシードライバーと対照群のMRIデータを解剖学的に分析、比較

結果   タクシードライバーの左右の海馬後部(※)は、対照群に比較し体積がより大きく、対照群の海馬前部(※)は、タクシードライバーに比較し体積がより大きいことを確認した。右海馬は、ドライバー経験との間で相関関係があることを確認した。

考察         タクシードライバーと対照群の間には脳の構造的な違いがあり、タクシードライバーとしての知識と経験が脳の構造を変化させたと考えられる。

出典 Navigation-related structural change in the hippocampi of taxi drivers

(※)海馬後部は、空間認識と関わりがあり、海馬前部は情動を伴う記憶形成に関わりがあると考えられている。

 

成人してからも神経可塑性が働くことを証明した有名な研究に、ロンドン大学のエレノア・マグワイア教授によって2000年に行われたロンドンのタクシードライバーの調査があります。ロンドンに行かれたことがある方はご存知かと思いますが、ロンドンの道は非常に複雑で入り組んでおり、東京駅周辺のように整然としておらず、どのルートが一番近い道か判断するのが難しいと言われております。カーナビゲーションシステムがあまり普及していない当時は、より一層タクシードライバーの情報と感覚が頼りとされていたことでしょう。ロンドンのタクシードライバーは即座に最短ルートを提示することができ、その位置把握能力は卓越したものがあります。サービスの質を担保するため、ロンドンのタクシードライバーは、非常に難関な「ナレッジ(知識)」と呼ばれるテストに合格しなくてはなりません。このテストに合格するには、平均3年の歳月がかかると言われており、2万5千にも及ぶロンドンのあらゆる通りの名前と2万を超える建物の名前を記憶し、地図を見ないで出発地点から到着地点までのナビゲーションができなくてはなりません。瞬時に最短ルートを判断するためには、空間認識や位置感覚、情報の整理統合が求められます。脳の中でこのような機能を果たすのが、主に空間認識や記憶に関わる「海馬」という領域になります。

 

本研究においては、この海馬の大きさを通常の成人とタクシードライバーで比較調査しました。結果は有意にタクシードライバーの海馬後部が大きく発達していることが確認されました。また、キャリアが長い人ほど海馬が大きく発達していることも分かりました。さらに、見習い運転手を調査すると、海馬が大きく発達している人ほど、「ナレッジ」に合格する人が多いという相関関係があることも分かりました。この事実は、脳の神経可塑性が、成人になっても失われておらず、訓練次第では、脳の機能と構造が変化していくことを証明していると考えられています。

 

可能性を広げるマインドフルネス

 

テストのような記憶に関わる部分においてのみ、脳の神経可塑性が発揮されるわけではありません。私たちの行動や思考がニューロンに、そしてニューロン同士の結びつきに影響を与え、その結果、新たな脳神経回路を構築し、神経ネットワークが活性化していき、脳の回路の働き方が実際に変わることが確認されており、マインドフルネスはその有効な手段と考えられています。つまり、私たちはマインドフルネスの実践(例えば、呼吸法や瞑想法など)を通じて神経可塑性を促進し、脳をトレーニングすることで、脳を意図的に変えることができるということです。

 

一方で神経可塑性は、諸刃の剣でもあります。新しい経験で脳を刺激してやらなければ、物事の対処の仕方や信念は固定化し、簡単には変化しなくなるのです。そして、脳のある部分を使わずにいたら、その部分は徐々に機能が低下していくリスクが高まっていきます。しかしながら意識的に脳をトレーニングすることにより、すっかり凝り固まった回路を変化させることも可能となるのです。マインドフルネスは、この神経可塑性を利用することで、私たちの世界観を変化させる可能性を与えてくれます。

 

例えば、神経可塑性が高く、変化しやすいと考えられている脳の領域として、海馬や扁桃体があります。海馬はストレス等で委縮すると、うつ病の原因になると指摘されている部位です。偏桃体はストレスの不安や恐怖に反応する部位で、偏桃体が小さくなると、ストレスに過剰反応しにくくなります。米国・ハーバード大学の研究によると、8週間のマインドフルネスの実践で海馬が5%増加し、扁桃体が5%減少したことが確認されています。

 

神経可塑性は、個人の可能性を広げることを意味します。生まれた瞬間は、圧倒的に遺伝子により能力が決まりますが、マインドフルネスを実践しこの神経可塑性を活用すれば、先天的な不利を覆し、脳が健康である限り、能力を付け加えていくことができるのです。この瞬間もあなたの脳は変化を続けており、新しい現実を生み出しているのです。

欧米で受け入れられた理由

 故スティーブ・ジョブズ氏(アップル社の共同設立者)やビル・フォード氏(フォード・モーター社会長)、アリアナ・ハフィントン氏(ハフィントン・ポスト創設者)などの著名な経営者がマインドフルネスを実践しています。Google社、Intel社、Facebook社、LindedIn社、Oracle社などの大企業がマインドフルネスを人材開発の研修プログラムとして企業導入しています。スタンフォード大学、カリフォルニア大学、マサチューセッツ大学、ハーバード大学などの教育機関では、マインドフルネスの教育及び研究が盛んに行われ、医療機関でも積極的にマインドフルネスが導入されています。NBAのプロバスケットボールチームやオリンピックのナショナルチームがチームビルディングやメンタルトレーニングのためにマインドフルネスを活用しています。イチロー選手やジョコビッチ選手のような一流アスリートがメンタルを整えパフォーマンスを最大化するためにマインドフルネスを実践しています。イギリスでは、国家プロジェクトとして様々な分野でマインドフルネスを導入していくことを検証、提案しています。

 なぜ、激しい競争社会の中でハードワークをこなす成功者達が毎日貴重な時間を割いてまで、マインドフルネスを実践しいるのでしょうか。また、なぜ、国家のプロジェクトとしてマインドフルネスの調査研究が進められているのでしょうか。

 それは、宗教性が排除されマインドフルネスの効果が脳科学で実証され、臨床データが蓄積され理論的な枠組みが示されているからです。

 マインドフルネスは、仏教の禅をベースにしているものの宗教性が排除されており、誰もが実践しやすいシンプルな方法を考案することで、経営者、ビジネスパースン、アスリート、学生、主婦などに幅広く受け入れられています。脳科学の研究が進んだことと臨床データが蓄積され、マインドフルネスの効果が科学的に実証されたことで、人材開発やストレスケアの観点から、企業、医療機関、教育機関でマインドフルネスの導入が広まりました。ビジネス分野においては、ストレスケアをはじめ、人材開発と組織活性化による経営力強化のための効果的なプログラムとして認識され企業導入が広がってきました。マインドフルネスの実践により、集中力や創造力、記憶力、レジリアンスを高め、自己管理能力や対人関係を強化し、個人の職務遂行能力が向上することが期待されます。また、共感力や洞察力を高めコミュニケーション能力や意思決定能力が向上し、リーダーシップが発揮されることが期待されます。

 アメリカでは、1979年にジョン・カバット・ジン博士(マサチューセッツ大学医学大学院教授・同大マインドフルネスセンターの創設所長)がマインドフルネスストレス低減法(MBSR)を開発し、医療分野でマインドフルネスが広まりました。MBSRでは、患者の症状に対する認知の変化や症状の改善が期待され、様々な臨床データが蓄積されました。また、fMRI(機能的磁気共鳴画像装置)などの脳の状態をモニタリングする医療測定器の発達に伴い、マインドフルネスの有効性を科学的にアプローチすることが可能となり脳神経科学に基づいたエビデンスが蓄積されました。例えば、マインドフルネスを実践している人と実践していない人の脳の状態を比較したり、マインドフルネスを実践する前と後を比較することで、その効果を測定します。また、ダライ・ラマが「マインドフルネスと脳科学の研究」に高い関心を示し研究機関の様々な調査に積極的に協力しています。瞑想経験豊富な僧侶の脳の状態と一般人の脳の状態を比較調査することが可能となり、マインドフルネスの効果が科学的なデータに基づいて立証されてきています。

 2007年にGoogle社がマインドフルネスプログラムSIY(SerchInsideYourself)を開発しました。SIYは誰もがマインドフルネスを実践できるようにシンプルにプログラム化されたものです。元々は人材開発、生産性向上のためにグーグル社員向けに開発されたプログラムでしたが、同プログラムの開発者であるチャディー・メン・タン氏のマインドフルネスによる世界平和の実現という想いからGoogle社外にオープン化されました。これをきっかけにシリコンバレーを中心にパフォーマンス向上、人材開発、リーダーシップ開発の方法としてマインドフルネスの企業導入が活発化しました。

 イギリスでは、2015年に「MINDFUL NATION UK(マインドフルな国家 英国)」というレポートが議会に提出され、マインドフルネスの可能性についての調査結果と政策が提案されています。国家プロジェクトとして、健康、教育、職場、司法の分野でマインドフルネスを推進していくという提案内容は、国家の将来を見据えた先進的な試みとなっております。各分野において、対象者を設定し、プログラム、トレーニングとして提供することを前提とし、再現性を認め、一定の効果が期待されています。2016年には、「職場におけるマインドフルネスの組み立て事例」として、BT社、アーンスト・アンド・ヤング社、ゼネラル・エレクトリック・カンパニー社、HSBC社、ジャガーランドローバー社などを対象にした調査結果が報告されています。レジリアンス・ストレスケア、人間関係、リーダーシップについての調査が含まれ、引き続き科学的な検証が必要ではあるものの、いくつもの文献調査とメタ分析を踏まえると職場におけるマインドフルネスの有効性についての定性的な証拠が十分揃っていると報告がされています。

日本の現状

 日本においても、マインドフルネスは雑誌やテレビ、インターネットなど各メディアで特集が組まれたり、様々なマインドフルネス関連の書籍が出版されるなどその注目度は高まってきています。人材開発やリーダーシップ開発、組織活性化、健康経営に課題を抱えている企業からの高い関心も伺えます。「働き方改革」「ワークライフバランス」が標榜され、企業がいかに人と向き合うかを模索する上で、今後マインドフルネスの重要性はますます高まっていくものと考えられます。日本の企業も、企業の使命である利益追求を、短期的な成長から、長期的な成長にシフトチェンジするために、環境、社会、企業統治に注意を払い社会的責任を果たし始めました。Mindfulness Projectは、その最も基盤となる人に対して、どのような姿勢で企業が向き合っていくのかが、日本の社会形成においても重要な課題と考えております。ストレスケアやセルフマネジメントなどの健康増進の側面とリーダーシップ開発や組織活性などの生産性、効率性向上の側面の両面において、マインドフルネスは有効な解決方法として期待されています。ヤフー株式会社、株式会社クレディセゾン、株式会社LIFULLなど、すでに企業の研修プログラムとして導入し始めている企業も現れています。その導入効果が認識されるに従い、欧米各国のようにマインドフルネスに関する取り組みが様々な分野において、ますます活発化していくことが期待されております。