【Vol.20】仕事の成果の58%はEIが生む 〜ビジネスにおけるEIの効果〜
ソラ:リーダーシップを発揮するためには、IQよりもEIが大事なことがよく分かりましたけど、他にはEIの向上でどんな効果があるんですか?
Mr. SIY : EIが向上することで様々な効果が期待できます。例えば、判断力や洞察力が高まったり、感情のマネジメントが自分でできるようになったりします。心理的安全性には欠かせない共感能力や思いやりも深まっていきます。
EIの効果
- プレッシャーがかかる状況でも落ち着いて対処できる
- 対人能力が高まり、対立状況においても建設的な人間関係を築ける
- 難しい問題について話すときも感情をうまくマネジメントして思慮深い会話ができる
- 失敗を認め失敗から学ぶことができる
- 優先順位づけが上手になり、生産的な行動を選択できる
心の旅:こんなに色んな効果があるんですか。
ソラ:これは、パフォーマンスが高まりそうね。
Mr.SIY: グローバルコンサルティング会社のTalentSmart社の調査では、あらゆる職種で成果の58%はEIによって生み出されていると結論づけています。
ソラ:成果の半分以上がEIということですね。
Mr.SIY:もちろん、専門性や経験も大切ですが、それ以上に自分の感情と向き合い、その情報をうまく使うことができるかが仕事の成果に影響を及ぼすということですね。また、別の調査結果では、仕事の成果が高い人の9割はEIが高い一方で、仕事の成果が低い人でEIが高いのは2割に留まることも確認されています。
ソラ:かなりEIと仕事の成果には関連性があるようですね。
Mr.SIY : Fortune400の医薬品業界の営業部門を対象に行った同社の調査では、以下の調査結果があります。
- コミュニケーション、31%向上:共感能力や理解力、自己管理能力の向上で、顧客との関係性
- レジリエンス、23%向上:パフォーマンスを下げる挫折から立ち直ること
- 倫理観、21%向上:失敗した時の説明責任を積極的に果たすこと
心の旅:顧客との関係性、営業にとっては成果に直結する要素ですね。
ソラ:仕事に失敗はつきものだからね。その時にどう反応するかって結構大事よね。放っておくと不祥事にもつながるわ。
心の旅:失敗した時には、「怒られる」「評価が下がる」と思うと説明するのが怖くなる時があります。説明できるような雰囲気づくりというか、関係作りのための日頃のコミュニケーションも大切だと思います。
ソラ:いわゆる心理的安全性よね。
心の旅:そうそう、それそれ。
Mr.SIY: 心理的安全性はバズワードになってますね。心理的安全性のベースはEIと言えるでしょう。
心の旅:営業以外を対象にした調査結果はあるんですか?
Mr.SIY: エンジニアを対象に行った調査がありますね。以下の通りです。
- 40%改善:効果的な変化への対応
- 26%改善:同僚との関係性
- 20%改善:チャレンジングな状況での柔軟性
心の旅:どちらかというとエンジニアはEIよりも専門性や経験が重視されるかと思ってましたが、この結果を見るとそうでもなさそうですね。
Mr.SIY : もちろん、専門性や経験は大切です。ただ、EIを高めることでよりパフォーマンスが発揮されるということですね。ココタビさん、サーチ・インサイド・ユアセルフがどこで誕生したか覚えてますか。
心の旅: そうだった!Googleで誕生したんでしたね。エンジニアの象徴であるGoogleで必要とされたということは、エンジニアにもEIが必要ということですね。
ソラ:私はエンジニアだから、このデータは励みになります。コロナ禍での変化への対応とか、本当にしんどかった。EIを学んでれば、少し違ってたかもしれないわ。それと、柔軟性が乏しいエンジニアがどれだけ多いことか。結構、頭が堅い人が多いのよねえ。
心の旅:柔軟性は、うちの会社も同じかもしれません。メインバンクという社風の影響もあるかと思いますが、お堅い人が多くて仕事がやりにくいんですよね。柔らかければ良いというものではないと思いますけどね。。。
Mr.SIY:何事もバランスが大事ですね。外にもEIの恩恵はいろいろとあります。
- 集中力
- ストレスケア
- 自信
- 正確な自己評価
- 感情のマネジメント
- 柔軟性
- 達成意欲
- イニシアティブ
- 楽観性
- 共感
- コミュニケーション
- 組織感覚力
- 鼓舞激励
- 影響力
- 育成力
- 変革促進
- 問題処理能力
- 協調性
- 信頼
- 責任感
- 意思決定
心の旅:広範囲だなあ。
Mr.SIY: EIはこれらのスキルの土台になっていると言えるでしょう。
ソラ:ビジネスを進めていく上では、どれも大切なスキルですね。
Mr.SIY: はい。同社の調べでは、結果的に年収にも差が現れてくると言われています。
心の旅: 年収にも影響があるんですか!
Mr.SIY: はい。EIが高い人たちは低い人たちに比べて、29,000ドルの差があるとされています。
ソラ:円換算すると。。。。ココタビさん、いくらになる??
心の旅: 435万円!(1ドル=150円換算)
ソラ:でかっ。
心の旅:今は円安なのと、アメリカと日本の報酬制度の違いなどもあるとは思いますが。キャリアが長くなればなるほど、任される役割や仕事、関わっていく人数や人の質も変わっていくことを踏まえれば、EIが仕事の成果や年収に影響を与えるというのは納得できますね。
Mr.SIY:そうですね。 アメリカの調査なので、この結果をそのまま日本に当てはめるのはいささか乱暴かもしれません。それでも、最近の人的資本経営の潮流においては、EIが高い人が今後評価されていくことが容易に想像されます。
心の旅: 人的資本経営、うちの会社も色々と取り組み始めました。今ひとつイメージつかめませんでしたが、EIを通じてみると現実感が湧いてきますね。
ソラ:人的資本経営って、人の価値を最大化するってことよね。今までの話からもEIが必要だと感じるわ。周りでも輝いて働いている人たちは、仕事もプライベートも充実していて、EIのスキルが高い人たちが多い気がするなあ。彼らに近付けるならEI向上のモチベーションが上がるわ。
心の旅: それと、才能があったり学歴はあるのに、会社で活躍できない人を見るけど、もしかしたら、EIが低いのかなあ。
ソラ:そういう人いるね。宝の持ち腐れというか肩書き倒れというか。
心の旅: そうならないようにEI高めていこう。
Mr.SIY:いいですね。EIはトレーニングすれば、開発可能ですから、今から取り組むことで、これからの仕事でのパフォーマンスが変わっていきますよ。ダニエル・ゴールマンは、人生の成功を決める要因のうち、IQは20%、EIは80%、と明言しています。
心の旅:ますます、EIを高めたくなってきました!
ソラ:なんだか明るい将来が見えてきたわ。
心の旅:それにしても、人生の成功とは、大きなテーマですね。
ソラ:そもそも、人生に成功も失敗もあるのかしら。なんてね。
Mr.SIY:人生の成功をどう捉えるかについては、また別の機会に話しましょう。