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SIY Journey

【Vol.6】サーチ・インサイド・ユアセルフの産みの親

心の旅人:これまでのコラムで、サーチ・インサイド・ユアセルフが誕生した背景やEIの重要性が分かりました。そもそも、誰がサーチ・インサイド・ユアセルフを開発しようと思ったのでしょうか?

Mr.SIY:チャディー・メン・タンという人物です。

心の旅:チャディー・メン・タンさん。どこかで聞いたことがある。サーチ・インサイド・ユアセルフの本を書いた人ですね。

Mr. SIY:はい。彼こそがサーチ・インサイド・ユアセルフを構想したその人です。元Google(旧名、現アルファベット社、以下Googleで統一)フェローで、ノーベル平和賞に8度ノミネートされています。

心の旅人:ノーベル平和賞にノミネート、凄いですね。どんな人なのでしょうか。

Mr.SIY:Googleではエンジニアとして成功した後、人材開発部門に異動し社内で瞑想の普及活動に尽力しました。社員番号107でGoogleで働いていた時の彼の肩書きは「陽気な善人(Jolly Good Fellow)」でした。

心の旅人:陽気な善人。なんだか、楽しそうな人だなあ。

Mr.SIY:サーチ・インサイド・ユアセルフの本の中でも、彼のユーモアを感じるエピソードが端々に現れます。

サーチ・インサイド・ユアセルフ開発の協力者の1人であるジョン・カバットジン博士(※1)は、彼を評して以下のように述べています。

「国家元首やノーベル賞受賞者や各界の名士をGoogleに迎えてもてなすこの男は、いったい何者だろう。それに、彼の話を真に受けていいのだろうか。言っていることは、すべて信じられるのだろうか。」(※2)

ジョン・カバットジン博士は、チャディー・メン・タンに初めて会った時、ジョークを連発する彼に少しばかり面食らったと振り返っています。

心の旅人:初対面でジョークを連発、なんだか親しみが持てますね。なぜ、陽気な善人が、サーチ・インサイド・ユアセルフを開発しようと思ったのでしょうか。

Mr. SIY:当時、瞑想の実践者であるチャディー・メン・タンは、瞑想の恩恵に多くの人がアクセスできるようにするための方法を考えていました。その時、1冊の本と出会います。それが、ダニエル・ゴールマン博士が書いた「Emotional Intelligence(邦題:EQ-こころの知能指数)」です。

心の旅:世界的ベストセラーになった本ですね。

Mr. SIY:そうです。日本でも1998年に出版され、IQ偏重で歪んだ社会の病理をあばき出し、本当の頭のよさとは何かをわかりやすく説いた名著とされていますね。

この本との出会いのことをチャディー・メン・タンは、

「この本を読んだ時に悟ることがあった。瞑想を実生活に整合させる手段を見つけたのだ。そしてその手段が、EIと呼ばれる、情動的知能だ。」

と振り返っています。(※3)

心の旅:EIが瞑想を実生活に整合させる手段というのはどういうことでしょうか。

Mr. SIY:まず、チャディー・メン・タンは、EIが世俗的な目標を達成するのに役立つことを誰もが知っている点に注目しました。

  • 有能になりたい
  • 昇進したい
  • 稼ぎを増やしたい
  • 他人と効果的に付き合いたい
  • 人から称賛されたい
  • 充実した人間関係を築きたい

これらは、現代人であれば、誰もが抱く欲求や願望ですよね。EIはこれらのニーズに完璧に整合していることに気づきました。

心の旅:一見、どれも世俗的ですが、実現したいというのが正直なところです。これらのことが実現するなら、EIを学びたくなりますね。

Mr. SIY:ですよね。Googleの優秀なエンジニアたちがサーチ・インサイド・ユアセルフに取り組むのも頷けますよね。

心の旅:確かに。

Mr. SIY:また、チャディー・メン・タンは、EIを育むことで、現実社会を生きる上で誰もが望むことを実現する方法を提示すると同時に、人々の内面の幸せや共感、他人への思いやりが増すことで、世界平和に貢献できることも悟ります。

心の旅:世界平和ですか。スケールが大きいなあ。

Mr. SIY:元々、世界平和がチャディー・メン・タンの夢であり、そのための方法を模索していて、ダニエル・ゴールマンの本に出会い、サーチ・インサイド・ユアセルフの着想を得たわけです。

「誰もが自分の中で平穏と幸せを育む方法を見つけられれば、人々の内面の平穏と幸せが思いやりとなって自然に現れてくるだろう。そして、ほとんどの人が幸せで、平和で、思いやりのある世界を私たちが生み出せるなら、世界平和の礎を築ける。」(※4)

この想いこそが、様々な分野から素晴らしい協力者たちを引きつけ、彼らのサポートを得ることに繋がります。今でこそ、企業経営において、「ウェルビーング」や「幸福学」「SDG’s」「ESG投資」が意識されるようになりましたが、10年先を見越していたと言えるでしょう。

心の旅:チャディ・メン・タンの想いは素晴らしいと思うのですが、具体的にEIを育むにはどうすればよいのでしょうか。

Mr. SIY:いい質問ですね。チャディー・メン・タンは、EIを育む方法こそが「マインドフルネス瞑想」に始まる瞑想の実践であることを見抜きました。

心の旅:EIを育むための手段として、マインドフルネス瞑想が有効なアプローチとなる訳ですね。興味深いなあ。そして、これはスケールが大きなプロジェクトですよね。先ほど、協力者がいると言ってましたが、サーチ・インサイド・ユアセルフはチャディー・メン・タン一人で開発した訳ではないんですね。

Mr. SIY:そうです。チャディー・メン・タンの「世界平和」という想いに共鳴し、多くの優秀な協力者が現れました。チャディー・メン・タンは、サーチ・インサイド・ユアセルフに対する自分の貢献を「翻訳者」であると表現しています。自分は単なるタイピストである、と。

心の旅:翻訳者?ですか。みんな英語を使ったんじゃないんですか。

Mr. SIY:確かにコミュニケーションとしての言語は、英語でしょう。彼の言う翻訳とは、協力者たちが備えている知恵を正しく解釈し、世間一般の人でもわかりやすいように表現したということです。その証拠に、サーチ・インサイド・ユアセルフの本にはたくさんの引用元が掲載されています。

心の旅:そういう意味ですね。チャディー・メン・タンって謙遜家で好感が持てる。「俺が作ったぞ!」と言わずに、「この人たちの知恵を拝借してこんなん出来上がりましたけど、いかがでしょうか。」みたいな。彼の人柄が伝わってくるなあ。

Mr. SIY:2018年のWisdom2.0で彼の質疑応答のステージを拝見しましたが、冗談を交えながら話す姿は、気さくで親近感を持てましたよ。以下の動画は、2012年にGoogleでサーチ・インサイド・ユアセルフについて講演した時のものです。英語ですが、設定-字幕-日本語で日本語訳を見れます。

Search Inside Yourself | Chade-Meng Tan | Talks at Google

心の旅: ありがとうございます。拝見してみます。次回は、サーチ・インサイド・ユアセルフ開発の協力者たちについて知りたいです。

(※1) ジョン・カバット・ジン博士は、1979年にMBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)を開発したマサチューセッツ大学医学大学院教授

(※2) 「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(2016年,P17)

(※3) 「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(2016年,P340)

(※4) 「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(2016年,P332)

 

 

 

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