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SIY Journey

【Vol.4】エモーショナル・インテリジェンス 〜情動と感情〜

SIY Journey Vol.4 サーチ・インサイド・ユアセルフ

心の旅人:前回のお話では、エモーショナル・インテリジェンス(以下、EI)がサーチ・インサイド・ユアセルフ(以下、SIY)のメインエンジンだという説明でしたが、EIってなんですか?。

Mr.SIY:はい。まず、このEIが何かと言うと、

EIとは、自分自身と他人の情動や感情を観察し、見分け、その情報を使って自分の思考や行動を導く能力」です。(※1)

心の旅人:感情はよく聞きますし、イメージ湧きますが、情動は、あまり耳馴染みがありません。違うものなのでしょうか。

Mr.SIY:はい。感情というとどんなイメージがありますか?

心の旅人:そうですね。嬉しいとか悲しいとか。イライラ、ワクワク、クヨクヨ、メラメラ、などでしょうか。

Mr.SIY:いいですね。情動と感情は、似たような言葉ですが、両者は大きく違うので、しっかり抑えておきましょう。ざっくり申し上げれば、情動は生理的反応で測定可能、感情は主観的な意識体験で測定不可能として区別されます。

心の旅人:測定可能な生理的反応と測定不可能な主観的な意識体験、ですか。

Mr.SIY:はい。情動の生理的反応というのは、心拍数や呼吸のリズムが変化したり、体温が上下したり、発汗や筋肉の強張りなど体の反応のことです。これらは計測可能で数値として測定することができます。

心の旅人:なるほど。

Mr.SIY:高いところに登って足がガクガクしたり、大切な試験の前に胃がキュッとしたり、外的な刺激や内的な記憶に伴って体の生理機能が変化するのが情動です。

心の旅人:高所恐怖症なので足がガクガクする感じよくわかります。イラッとした時にお腹の当たりがムカムカするのも情動なのかな。

Mr.SIY:そうですね。腸が煮えくり返るなどと言いますよね。肚落ちする、肝を冷やす、喉から手が出る、など体を使って心の動きを表現する慣用句はたくさんありますね。

心の旅人:腰が重いとか目は心の鏡とかもそうですね。

Mr.SIY:はい、その通りです。怒りや悲しみ、恐怖や嫌悪感、幸福感や驚きなどは基本的な情動として、体温や心拍数の変化など生理的反応を現すことが様々な研究結果で確認されています。基本情動の数については諸説ありますが、最近の研究(※2:カリフォルニア大学)では、基本情動が27個あるという報告もされています。

心の旅人:そのような研究結果があるのですね。情動はイメージが湧いてきました。感情は、主観的な意識体験ということなので、人それぞれ違うというイメージでよろしいでしょうか。

Mr.SIY:そうですね。同じ出来事でもその捉え方や反応の仕方は人それぞれですね。例えば、雨が降っていることに対して、ポジティブに反応する人とネガティブに反応する人と、そのどちらでもない反応の人に分かれますね。

心の旅人:雨が降ってて、嬉しいと思う人がいるってことですか?

Mr.SIY:いますよ。農家さんは恵みの雨と言いますね。種まきした後のタイミングで雨が降ると作物の育ちが良くなります。

心の旅人:そういうことですね。私は雨が降ってると気分がどんよりして外出したくなくなってしまいます。嬉しいと思う人もいるということが分かり、感情は主観的というイメージが湧いてきました。

Mr.SIY:感情についてもう少し専門的なことを説明すると、感情とは情動の認識とその情動の原因予測ということになります。体にはどんな生理的反応があるかを認識して、その生理的反応がどうして起こったのかを予測して感情は生まれていくと考えられています。

心の旅人:感情って、思ってるより複雑な仕組みなのですね。

Mr.SIY:今の段階では、主観的なもので生理的反応が関連していると理解しておけば大丈夫です。物事の捉え方は人それぞれ違うので湧き起こる感情には違いがあるということも抑えておきましょう。そして、感情には、育まれる感情や知的に学び獲得していく感情があると考えられています。

心の旅人:育まれる感情と知的に獲得する感情、ですか。

Mr.SIY:はい。愛情、依存、憎しみ、嫉妬などは、人間関係を通じて育まれる感情として考えられ、罪、恥、甘え、平和や福祉、やり甲斐、好奇心などは知的に学び獲得していく感情として考えられます。

心の旅人:そのような分類方法があるのですね。情動と感情の違いが大分イメージできてきました。

Mr.SIY:EIは、これらの情動や感情を心と体が教えてくれる情報として捉えます。

心の旅人:心と体の情報。面白い表現ですね。

Mr.SIY:EIは、この心と体の情報をうまく使って、思考や行動を導く能力ということになります。

心の旅人:心と体の情報を思考や行動につなげていくのですね。そのようなこと考えたこともなかったなあ。できるかな。

Mr.SIY:SIYでは、EIを感情知性と表現します。この感情知性には、情動も含まれているということを覚えておいてください。

心の旅人:了解です。感情知性は、感情と情動が含まれているってことですね。ところで、EIが高まるとどうなるのでしょうか。

Mr.SIY:次回はEIの効果について学んでいきましょう。

(※1) Emotional Intelligence : Peter Salovey & JOHN D.Mayer(イェール大学学長とニューハンプシャー大学教授、1990年)

(※2)Self-report captures 27 distinct categories of emotion bridged by continuous gradients:Alan S. Cowena,1 & Dacher Keltnera(カリフォルニア大学、2017年

 

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