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SIY Journey

【Vol.3】サーチ・インサイド・ユアセルフ誕生 〜AIではなくEI〜

SIY Journey Vol.3 サーチ・インサイド・ユアセルフ

サーチ・インサイド・ユアセルフ誕生は2007年

心の旅人:サーチ・インサイド・ユアセルフ(以下、SIY)は、いつ、どこで誕生したんですか?

Mr.SIY:SIYは、2007年Google社(旧名、現アルファベット社、以下Googleで統一)で誕生しました。Googleと言えば、社内のPhDホルダーの割合が、NASAよりも多いと言われるほど優秀なエンジニアを大勢抱える、言わずと知れたIT企業の雄です。Googleは、現在10万人以上の社員を抱えており、その1割以上が何らかの瞑想の実践をしていると言われています。(※1)

心の旅人:PhDホルダーの割合がNASAよりも多く、瞑想実践者が1割以上とは凄いですね。どのような企業カルチャーなのでしょうか。

Googleのカルチャーは、一言で言えば「エビデンスベース」

Mr.SIY:ピョートル・フェリクス・グジバチ氏(元Googleのアジア・パシフィック地域の人材育成ヘッド)の著書「世界最高のチーム」によれば、「何事もしっかりエビデンスを探して、根本のレベルまで落とし込んでいくカルチャー」という風に表現されています。学者肌の社員が多く、知的好奇心が非常に強く根性論は全く通用しないとされています。「論より証拠」を地でいく感じでしょうか。

心の旅人:そんなアカデミックな雰囲気のGoogleでなぜSIYが誕生したんでしょう?

バブル崩壊とともに誕生

MR.SIY :アカデミックとマインドフルネス、結びつかないですよね。まずは時代背景を追っておきましょう。SIYが誕生した2007年といえば、リーマンショックの引き金となるサブプライムショックが起こった年ですね。連鎖的な世界規模の金融危機が起こり、消費は落ち込み、円高が進み、日本では輸出産業を中心に大きなダメージがあり、大幅に景気が後退しました。大手メーカーは投資をやめ、在庫や資金の循環が悪化し、リストラを実施した企業もあります。時代のパラダイムシフトの起点になる出来事でした。

心の旅人:時代のパラダイムシフトですか。

MR.SIY:はい。リーマンショック後、金融制度の見直しとともに、新しい産業のあり方として、インターネットの普及とグローバル化が進展し、情報化社会の基盤が出来上がりました。IT産業が振興していく中で、それまで以上に効率化と生産性が求められるようになっていき、企業を取り巻く環境は激変していきました。技術はものすごいスピードで進化し、製品寿命は短期化し、市場ニーズは多様化していきました。情報サービス産業のど真ん中にいたGoogleは、そのような変動の激しく複雑な事業環境の中で、いかに新しい価値や創造的なサービスを作り出すことができるかを模索していました。Googleにとっては、リーマンショックの影響よりも、生産性や創造性の向上が何よりの課題だったという訳ですね。

心の旅人:そのような変化の激しい中で生産性や創造性を発揮するのは簡単なことではありませんよね。

Mr.SIY: その通りです。優秀なエンジニアたちは、創造的で困難な仕事に熱心に取り組む一方で、強いストレスを抱え苦しむようになっていきます。情報のインフラが整ったお陰で、労働環境も変化していき、どのような仕事においてもスピード感や高度な情報処理能力、コミュニケーション能力が要求されるようになっていきました。このような状況の中で、パフォーマンスを高め、リーダーシップを発揮できる人材を育成していくために、Googleではマインドフルネスを取り入れるようになっていきました。

心の旅人:やっとマインドフルネスが出てきましたね。労働環境の変化に伴い、求められるビジネススキルも変化し、マインドフルネスが求められるようになってきたということですね。

時代はハードスキルからソフトスキルへ

Mr.SIY: そうです。このような時代の変化の中で、ソフトスキル(人の心を対象としたスキル)が注目を集めるようになっていきました。SIYは、マインドフルネスを活用して感情知性「Emotional Intelligence(以下、EIと表記)」を向上させるプログラムとして開発されました。まさにソフトスキルをターゲットとしています。

心の旅人:ソフトスキル?とはなんでしょうか?

Mr.SIY:ソフトスキルは、集中力や感情マネジメントなどの自己管理能力、共感力やコミュニケーションなどの対人調整能力などです。一般的な仕事の専門的なスキルではなく、人の心に即した人間的なスキルと考えていただければよろしいかと思います。

心の旅人:私は、今まで専門性を磨くことに力を注いでいました。

Mr.SIY:はい。そのような方が多いですし、企業の人事研修では専門性を磨くための研修プログラムを実施しているところが多いと思います。

心の旅人:ソフトスキルが大切だということは日頃の仕事で痛感しています。SIYは専門性を磨くのではなく人間性を磨く、そのために、マインドフルネスを活用してEIを高めるということですね。

Mr.SIY:その通りです。ソフトスキルを高めるためにEIを高めていくのがSIYのアプローチとなります。

心の旅人:昨今流行っている「AI」ではなくて「EI」ですね。

Mr.SIY:はい、EIです。AIは「Artificial Intelligence」の略で、人工知能のことを指しますよね。感情知性のEIは「Emotional Intelligence」の略で、日本ではIQと比較してEQ=心の知能指数と表現されることが多いかもしれません。

メインエンジンはEI

心の旅: IQとEQは、聞いたことあります。

Mr.SIY: 知能指数を意味するIQというのは、みなさんよく耳にすると思います。IQは、Intelligence Quotientの略になります。IQは、ざっくり言えば、テストでどれぐらい良い点数が取れるか、論理力や記憶力がどれぐらいあるかを測ります。心の知能指数のEQの正式な表記は、「Emotional Intelligence Quotient」です。略すならEIQとなるところ、Intelligenceを略してIQと比較しやすいようにEQと表現したのでしょう。

心の旅人:欧米ではどのように表現されているんですか?

Mr.SIY: 欧米でもEQと表現されたりEIと表現されたりしています。それぞれ、文脈によって使い分けがされていますね。このSIY Journeyでは、SIYのプログラムに準じてEIで統一していきますね。

心の旅人:分かりました。AIではなくて、EIですね。

Mr.SIY: はい。耳馴染みがないので、最初は慣れないかもしれませんが、使っていくうちに慣れていくと思います。というか、このEIがまさにSIYのメインエンジンなので、慣れていっていただきます、笑。

心の旅人:はい、善処します!

Mr.SIY:次回はEIについて触れていきましょう。

(※1) 「世界最高のチーム」(2018年,P17)

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