【Vol.7】優秀な協力者たち
心の旅: 前回のコラムで、サーチ・インサイド・ユアセルフの開発者が、チャディー・メン・タンだということが分かりました。彼の想いに共鳴した協力者たちによって、サーチ・インサイド・ユアセルフの完成がもたらされたのですね。
Mr. SIY : はい。チャディー・メン・タンは、世界平和のために何ができるかを考え、瞑想の恩恵を誰もが受けられるようにしようと考えました。その志とエネルギーは、一流の大学教授や脳科学者、瞑想指導者、禅師、など一線で活躍する様々な専門家を巻き込み、彼らの協力を得ることに成功しSIYのカリキュラムが出来上がっていきます。
心の旅: 実際にはどのような人たちが協力したのですか?
Mr. SIY:チャディー・メン・タンは、サーチ・インサイド・ユアセルフ誕生に欠かせない人として、ダニエル・ゴールマン博士、ジョン・カバットジン博士、リチャード・デイヴィッドソン博士の3人の名前を挙げています。3名とも各界の第一線で活躍している人たちです。
心の旅:ダニエル・ゴールマンは、確か「EQ心の知能指数」の著者ですよね。
Mr. SIY:はい。その通りです。ダニエル・ゴールマンは、EI(Emotional Intelligence:感情知性)を提唱してきた心理学者であり、全世界で500万部のベストセラーとなった「EQ心の知能指数」の著者です。現在は、ラトガーズ大学コンソーシアム・フォー・リサーチ・オン・エモーショナル・インテリジェンス・イン・オーガニゼーションズの共同会長を務めています。「Authors@Google」というGoogleの社内イベントで講演もしています。(※1) ダニエル・ゴールマンは、チャディー・メン・タンのことを「見事なシステム分析力と美しい心を合わせ持つ特別な人間である」と評しています。(※2)
心の旅:特別な人間。最上級の褒め言葉ですね。チャディー・メン・タンは、ダニエル・ゴールマン博士が書いた「EQ-こころの知能指数」を読んで、サーチ・インサイド・ユアセルフのアイデアを着想したんですよね。
Mr.SIY:はい。チャディー・メン・タンは、この書籍を通じて、EIの中核をなすのは己を知ることであり、そのための最善の方法は、「マインドフルネス」と呼ばれる心のトレーニングであることを見抜きました。そのことに気づいたチャディー・メン・タンについて、ダニエル・ゴールマンは、「その洞察が、サーチ・インサイド・ユアセルフの基礎となっている。」と彼の分析力を称えています。
心の旅:己を知ることと心のトレーニング、結びつかないなあ。
Mr. SIY:そうかもしれませんね。マインドフルネスの実践で、注意の力を使い心の中を観察することが己を知ることにつながっていきます。このことは、SIYのコンテンツの中で取り扱いますので、別の機会に詳細は説明しましょう。
心の旅:わかりました。その時まで、この件はお預けということで。ジョン・カバットジンはどのような人なのですか?
Mr.SIY:ジョン・カバットジンは、マサチューセッツ大学医学大学院の教授であり、同大マインドフルネスセンター創設所長です。1979年にストレス系疾患患者のためにマインドフルネスストレス低減法(MBSR)を開発し、マインドフルネスを西洋科学の分野に統合させたこの分野の第一人者です。
心の旅:マインドフルネスの第一人者!その彼は、チャディー・メン・タンのことをどのように感じてたのでしょうか。
Mr.SIY:ジョン・カバットジンは、チャディー・メン・タンのことを以下のように評しています。
「マインドフルネスと世界平和のお膳立てをすることと、平穏を地球の基本設定モードにすることに、身も心も捧げている。そしてそれを実現するために、Googleのプラットフォームと力を使おうと真剣に取り組んでいる」(※3)
心の旅:平穏を地球の基本設定モード、壮大なビジョンですね。そのビジョンが優秀な人たちを巻き込んでいったのですね。
Mr. SIY:ジョン・カバットジンは、それを彼の言葉で次にように表現しています。
「私たちこそが世界なのであり、自分の担う、ささやかではあっても決して無意味ではない世界の一部に対して責任を引き受ける時、世界全体がすでに変化している。情動面をはじめ、様々な意義ある形で私たちが開花する時、それは大きな実を結ぶ可能性を秘めているのだ」(※4)
心の旅:自分も世界の変化の一部になれるというのは、世界とのつながりが感じられ、希望が持てますね。特に、コロナ禍のような状況では、なおさら身に染みます。3人目のリチャード・J ・デイヴィッドソンはどのような人ですか?
Mr.SIY:脳科学者・心理学者であるリチャード・J ・デイヴィッドソン博士は、瞑想に科学的裏付けを与える仕事を多く残し、科学者として高く評価されています。現在は、ウィスコンシン大学の心理学教授であり、Center for Healthy Mindsの創設所長です。
心の旅:サーチ・インサイド・ユアセルフは、神経科学で有効性が確認されたプログラムとのことでしたが、彼の功績が大きいのでしょうか?
Mr. SIY:そうですね。彼がいなかったら、ここまでマインドフルネスが欧米で受け入れられる事はなかったでしょう。例えば、リチャード・J ・デイヴィッドソンとジョン・カバットジンは、共同研究を通じて8週間のトレーニングで瞑想の効果があることを科学的に証明しています。8週間の瞑想トレーニングによって、一般人の前頭前野が1万時間以上の瞑想経験のある修行僧と同じ情動的知能を高める方向へシフトしたことを示しました。この研究結果は、私たちが日常生活を続けながら、瞑想の恩恵を享受できることを示しています。
心の旅:8週間で、そのような効果が現れるというのは、これからサーチ・インサイド・ユアセルフを学ぶ者にとっては大変励みになりますね。欧米でマインドフルネスがブームになっている背景が何となく分かる気がします。この3名以外にも協力者はいるのでしょうか?
Mr. SIY:この3名以外にも、サーチ・インサイド・ユアセルフのカリキュラム作成にあたって、ミラバイ・ブッシュ、ノーマン・フィッシャーという一線で活躍する才能あふれる人たちが協力しています。
心の旅:ミラバイ・ブッシュ、ノーマン・フィッシャーはどのような方々なのですか?
Mr. SIY:ミラバイ・ブッシュは、Center for Contemplative Mind in Societyセンターの共同創設者で、 60年代にインドから西洋に仏教を伝えた立役者の一人で影響力のある瞑想指導者として知られています。ノーマン・フィッシャーは、サンフランシスコで鈴木俊隆老師の教えを継ぐ修行を通じて全米で尊敬を集める禅の指導者で詩人です。
心の旅:心理学者、マインドフルネス第一人者、脳科学者、瞑想指導者、禅師。錚々たるメンバーが揃っていますね。
Mr. SIY:はい。このメンバーにさらに、神経科学研究者のフィリップ・ゴールディン、マインドフルネス講師のイヴォンヌ・ギンズバーグ、禅師でありSIYLIの元C E Oマーク・レサーが加わり、サーチ・インサイド・ユアセルフのカリキュラム創設チームが編成されました。マインドフルネス界のオールスターが集まったといえるでしょう。マインドフルネスとEIのためのカリキュラムを作るにはこれ以上ない専門家集団です。
心の旅:うわあ。聞いた事ない人ばかりで覚えられません、笑。でも、本当に才能のある方々がサーチ・インサイド・ユアセルフに関わっていることがよくわかりました。
Mr. SIY:このように傑出した人たちが協力してプログラムを開発したという事は、サーチ・インサイド・ユアセルフの特徴の一つと言えますね。だからこそ、能力開発プログラムとしてGoogle社内で高く評価され多くの社員が受講しているのでしょう。このプログラムは、彼らの叡智が惜しみなく詰まっています。その効果がまずはGoogle社内で確認され、実践方法が書籍化されました。さらに、Googleらしく誰でもアクセスできるようオープン化され、サーチ・インサイド・ユアセルフは、現在50カ国以上で紹介され10万人以上が受講しています。2019年5月には国連でもSIYの有用性が紹介されました。
心の旅:国連でも紹介されているのですか!
Mr. SIY:はい。その時の様子が動画に収まっていますので、どうぞご覧ください。
United Nations Presentation: The Role of Mindfulness and Emotional Intelligence at Work
(英語ですが、設定-字幕-自動翻訳-日本語で日本語で見れます。)
心の旅:ありがとうございます。見てみます。
Mr. SIY:いよいよ次回からSIYオフィシャルプログラムの中身を見ていきましょう。
心の旅:お〜いよいよ始まるのですね。楽しみにしております!
(※1) Social Intelligence | Daniel Goleman | Talks at Google
(英語ですが、設定-字幕-自動翻訳-日本語で日本語で見れます。)
(※2) 「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(2016年,P14)
(※3) 「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(2016年,P21)
(※4) 「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(2016年,P25)