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コラム

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マインドフルネス

集中力を高めるマインドフルネス 〜呼吸瞑想のやり方〜

集中力を高める方法の1つとして、マインドフルネス呼吸瞑想を紹介します。
説明よりも実践をされたい方は、一番下の動画をご覧くださいませ。

呼吸に注意を向ける

マインドフルネスは、「今この瞬間に心、体、周囲で起こっていることに気づくこと」です。自然な呼吸に注意を向け、自分の呼吸に気づく「呼吸瞑想」が最も基本的なマインドフルネスの実践方法になります。呼吸瞑想はシンプルです。呼吸に注意を向け、注意がそれたらそのことに気づき、再び呼吸に注意を向け直します。これを繰り返すのが「呼吸瞑想」であり、集中力を維持する練習にもなります。

心のおしゃべり

初めて「呼吸瞑想」を実践すると、心のおしゃべりが始まり、心はざわざわ、ふらふらし始めます。自分の心の中に様々な思考や感情が湧きおこります。心のおしゃべりが始まっても驚く必要も自分を責める必要もありません。思考や感情が湧き起こってくることは至って自然なことです。心はおしゃべりなのです。この心のおしゃべりに気づくことが呼吸瞑想の第一歩です。呼吸に注意を向けていて、思考や感情が湧き起こり、注意が呼吸から逸れたら、そのことに気づき再び呼吸に注意を戻します。

 

呼吸が感じられる場所

それでは、ここで1分間で良いので呼吸瞑想を実践してみましょう。マインドフルネスで何より大切なことは、頭で理解することよりも実践することです。

まずはじめに、自分の呼吸がどこで感じられるかを探しましょう。例えば、鼻やお腹、胸などで呼吸を感じることができるでしょう。鼻が膨らんだり縮んだりする感覚や鼻の中を通り抜ける息の流れなど、鼻の辺りに呼吸を感じる方もいるでしょう。または、お腹が膨らんだり縮んだりする感覚や胸の辺りを息が通り抜ける感覚に呼吸を感じる方もいるでしょう。何度か自然な呼吸をしてみて自分の体を観察し、呼吸が感じられる場所を探してみてください。

実はこの呼吸が感じられる場所を決めることはとても大切なのですが、疎かにされがちです。なんとなく、呼吸をイメージするのではなく、きちんと自分の呼吸はこれだなというものを決めていきましょう。そこが自分の瞑想のホームベースになっていきます。呼吸瞑想では、「呼吸に注意を向ける」という表現を使います。呼吸に注意を向けるというのは、どういうことかというと、自分の「呼吸が感じられる体の場所」=ホームベースに注意を向けるということです。呼吸が感じられる場所が決まったら、以下の順序で呼吸瞑想を実践していきます。

呼吸瞑想のやり方

① 姿勢を調えましょう
② 1回深呼吸をして、その後はできる限り自然な呼吸をしましょう
③ 呼吸に注意を向けましょう
④ 呼吸から注意が逸れたことに気づきましょう
⑤ 再び呼吸に注意を戻しましょう

① 姿勢を調えましょう
椅子に腰掛けても、床の上で座禅のように足を組んでも構いません。まずは、首や肩をストレッチして緊張を緩めます。次に、骨盤を立てて背筋を伸ばして胸を広げて座りましょう。自分が大きな山になったつもりで堂々と座ります。目を閉じることに抵抗がなければ、目を閉じましょう。目を閉じることに抵抗があるようであれば半眼でも構いません。

② 1回深呼吸をして、その後はできる限り自然な呼吸をしましょう
大きく息を吐き出した後、しっかりと息を吸い込んで、ゆったりと心を込めて息を吐き出し深呼吸をします。その後は、口を軽く結んで、鼻から吸って鼻から吐いて自然な呼吸をしましょう。

③ 呼吸に注意を向けましょう
最初に決めた「呼吸が感じられる場所」=ホームベースに注意を向け、自然な呼吸を観察しましょう。呼吸に伴う体の感覚や変化に気づきましょう。鼻が膨らんだり、縮んだりする感覚。胸の中を通り抜ける息の感覚。お腹が膨らんだり、縮んだりする感覚。自分が今息を吸っているのか、それとも吐いているのかに気づきましょう。一生懸命やろうとせず、ゆったりとした気持ちで取り組みましょう。

④ 呼吸から注意が逸れたことに気づきましょう
心のおしゃべりが始まると、様々な思考や感情が現れるでしょう。そのことは良いことでも悪いことでもありません。脳の機能を考えれば当たり前のことです。「お腹が空いたなあ」「朝一でメールをしなきゃなあ」「感情的に子供を叱ってしまったなあ」様々なことが心の中をよぎったら、そのことに気づきましょう。そして、呼吸から注意が逸れたことに気づきましょう。

⑤ 再び呼吸に注意を戻しましょう
呼吸から注意が逸れたことに気づいたら、深く考えず再び呼吸に注意を戻しましょう。「呼吸が感じられる場所」=ホームベースに注意を向け、自然な呼吸を観察しましょう。呼吸に伴う体の感覚や変化に気づきましょう。

この①〜⑤のプロセスを繰り返し行います。



では、1分間、呼吸瞑想をやってみましょう。

呼吸瞑想のコツ〜好奇心〜

どうでしょう。うまくできたでしょうか。呼吸瞑想のコツは、呼吸そのものに好奇心を持つことです。好奇心を持って呼吸を観察してみてください。呼吸が感じられる場所=ホームベースに注意を向けてるときには、以下のようなことを観察してみましょう。

・鼻やお腹、胸のあたりではどのような感覚が生まれているか。
・今自分は息を吸っているのか、吐いているのか。
・呼吸がいつ始まり、その呼吸がいつ終わっていくのか。
・呼吸に伴い何か体の変化はあるか。

呼吸をコントロールしない

呼吸瞑想の時には、呼吸をコントロールしません。呼吸をコントロールすることなく、あくまでも自然な呼吸をしてその呼吸を観察していきます。これが「呼吸に注意を向ける」ということです。マインドフルネス瞑想では、いわゆる呼吸法のように「5秒で吸って3秒で止めて8秒で吐く」のような決め事はありません。呼吸を意識的にコントロールすることなく、できるだけ普段通りの自然な呼吸をして、「呼吸に伴う体の感覚や変化に気づく」ことが「呼吸瞑想」です。多くの人が呼吸法と呼吸瞑想を混同してしまい、積極的にうまくやろうとして体に余計な力を入れて呼吸をしようとしますが、自然体の呼吸を心がけることが大切です。

脳の機能を高める2つのこと

実際に呼吸瞑想に取り組むことで、心が落ち着きリラックスできる人もいれば、力が入り緊張して息苦しさを感じる人もいるでしょう。中には自然な呼吸をしようと思った途端に呼吸が乱れ始める人もいるかもしれません。息苦しさを感じた人は、「息苦しい」ことに気づき、自然な呼吸がわからなくなってしまった人は、「呼吸が分からない」ことに気づきましょう。ありのままの呼吸、ありのままの状態に気づくことがマインドフルネスであり、呼吸瞑想の基本になってきます。呼吸瞑想は、心を動かさないようにしたり、注意が逸れないようにしたりすることではありません。「動く心」「注意が逸れたこと」に気づき、心は揺れ動くものだということを体験することから呼吸瞑想は始まります。

「注意が逸れたことに気づく」
「逸れた注意を元に戻す」

この2つのことが心をトレーニングして、脳の神経可塑性を促し神経細胞のつながりやネットワークを変えていき、注意のコントロールができるようになり、脳の機能と構造を高めていきます。結果的に、心が穏やかになったり集中力が高まったりする効果が現れます。

「これでいいのかな?」と思ったら

最初は分かりにくいかもしれません。「これでいいのかな」と疑問がよぎることもあるかもしれません。その時には、疑問が浮かんだことに気づくことが自身の心の状態に気づくことになります。マインドフルネスでは気づくことがとても大切です。気持ちが落ち着かないこともあれば、集中できることもあります。そうした心の動きに気づくことが重要となります。

何かに集中しようとする時、心を動かさないようにするのではなく、動く心に気づくことがマインドフルネスであり、集中力を高めていくコツとなります。私たちの注意はどんな時でも逸れることがありますが、そのことに気づいていることは多くありません。エクセルのデータ入力をしている時、お客さんとの商談の時、車を運転している時、私たちの注意はいとも簡単に逸れてしまいます。だからと言って、体に力を入れて一生懸命集中しようとしても、長続きしません。呼吸瞑想を通じて注意力のコントロールを鍛えていくことが、自然体のゆったりとした集中力を高めていくことにつながります。

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