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コラム

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自律型人材育成 SLT

第6章:「どうせできない」という思い込みから抜け出すには?|部下の「できる」実感を育む|Look back at your growth

SLT 自立型人材育成

第5章ではSet(方向性を定める)の実践方法を学びました。この章では、Look back at your growth(成長を振り返る)に焦点を当て、「できていない感」から「成長している実感」への転換を実現します。

あなたの部下から、こんな言葉を聞いたことはありませんか?

「もっと成長したいのですが、自分に自信が持てません。」

このような前向きな想いの後に続く自己否定。「できていない感」に支配されている部下を見て、もどかしい思いをしたことはありませんか?

ある企画部の若手社員は、こう語ります。「客観的に見れば成長しているはずなのに、自分では全く実感できない。いつも『まだ足りない』『もっとできるはず』と思ってしまう」

実は、この現象は有能感の低さから生まれるもので、多くのビジネスパーソンに共通しています。そして、この感情が成長を妨げ、意欲とエネルギーを奪い去っているのです。向上心の高い人ほど陥りやすい心理的な罠なのです。

有能感とは何か

第3章で学んだように、有能感とは「成長を実感する力」であり、「自分なりの成長・貢献を実感すること」です。

  • 成長を実感する力
  • 他者ではなく昨日の自分と比べる
  • 小さな成功を発見する

有能感の本質は、他者との競争ではなく、昨日の自分との比較です。「昨日より5分早く資料を完成させた」「苦手な人に自分から声をかけられた」「会議で一言でも自分の意見を言えた」──これらすべてが、有能感を育む「実感の種」なのです。

有能感が高まると

  • 小さな前進を認識して自然と学び続ける
  • 失敗を学習機会として捉えて新しいことに挑戦する
  • 困難な状況でも成長を糧に乗り越えられる

なぜ「できていない感」が蔓延するのか

「できていない感」が生まれる根本的な理由

できていない感は、有能感が満たされない時に生まれます。具体的には以下の3つの状況です。

  • 「成長が見えない」と感じる:他者と比較し、昨日の自分との違いに気づけない
  • 「まだ足りない」と感じる:完璧を求め、小さな改善を認められない
  • 「評価されていない」と感じる:外部からの承認がないと自信を持てない

特に現代の職場では、SNS時代の比較文化、完璧主義の蔓延、評価制度への依存により、自分の小さな前進が見えなくなり、できていない感が生まれやすくなっています。

しかし、Look back実践によって、この状況を転換できます。以下の3つのステップで、「できていない感」から「成長している実感」への転換を実現しましょう。

Look back実践の方法

第4章で学んだように、Look back実践では、小さな変化や成長に気づく力を育むことで、有能感を効果的に回復することができます。

実践1:小さな成功の発見(3分)

Step 1:心を調える(1分)

  • 深呼吸を3回する

Step 2:今日を振り返る(1分)

  • 今日一日を時系列で振り返る

Step 3:成功を発見する(1分)

  • 「昨日より少しでも良くできたこと」を1つ見つける
  • その成功を味わい、自分を認める

実践例:管理職Dさんの夜

寝る前の3分間で実践。「今日は予定外のトラブルがあったけど、イライラする前に深呼吸できた」という小さな成長を発見。「感情に気づいて、すぐ反応しないことが冷静な判断につながる」という学びを得て、明日も意識しようと決めました。

実践2:成長の可視化(週次10分)

Step 1:3つの視点で振り返る(7分)

  • 技術的成長:新しく身につけたスキルや改善できたこと
  • 思考的成長:物事の捉え方や判断力の向上
  • 関係的成長:コミュニケーションや協力関係の発展

Step 2:具体的な変化を記録する(2分)

  • 各視点で最低1つずつ書き出す

Step 3:来週への意図を設定する(1分)

  • 今週の成長を踏まえて、来週さらに伸ばしたい点を1つ決める

実践例:営業職Eさんの金曜日

毎週金曜日の夕方に実践。技術面では「新しいExcel関数を覚えた」、思考面では「クレームを学習機会として捉えられるようになった」、関係面では「後輩に積極的に声をかけられた」と記録。「来週は他部署の視点も取り入れてみよう」と意図を設定しました。

実践3:失敗の受容と学習化(適宜5分)

失敗に直面した時、まず「誰でも失敗する、私も人間だから」と自分を受け入れましょう。その上で、以下の3つのステップで失敗を学習に変えていきます。

Step 1:事実を確認する(1分)

  • 何が起きたか?(感情を交えず、事実だけを見る)

Step 2:学びを抽出する(2分)

  • 何を学んだか?

Step 3:次への活用を考える(2分)

  • 次はどうするか?(具体的な改善策を1つ決める)

実践例:次世代リーダーFさんのプロジェクト後

プロジェクトの進捗報告で想定質問を見落とし、上司から指摘を受けました。最初は落ち込みましたが、「誰でもミスはある」と自分を受け入れ、3つの質問で振り返りました。「事前の想定が甘かった」(事実)、「多角的な視点で準備する重要性を学んだ」(学び)、「次回は先輩に事前レビューを依頼しよう」(活用)。失敗を成長の糧に変えることができました。

今日から始める第一歩:個人実践の開始

まずは就寝前の3分間、実践1の小さな成功発見から始めてみましょう。慣れてきたら、週次の成長可視化、失敗の学習化へと広げていきます。具体的な習慣化のステップは第9章で詳しくご紹介します。

管理職の方へ:部下の有能感を育む

部下の有能感を育成するために、リーダーとして以下の工夫ができます。

承認スタイルの転換

  • 結果だけでなくプロセスを承認する:努力や工夫を具体的に認める
  • 個別の成長ペースを尊重する:他者との比較ではなく、その人の昨日との違いに注目する
  • 失敗を学習機会として扱う:責めるのではなく、何を学べたかを一緒に考える

成長を引き出す質問技術

  • 成長発見:「最近、成長を感じた瞬間は?」と問いかける
  • 学習促進:「この経験から何を学べた?」と振り返りを支援する
  • 未来志向:「次はどんなことに挑戦したい?」と前向きな意欲を引き出す

本章のまとめ

第6章では、L – Look back at your growth(成長を振り返る)の実践方法を学びました。小さな成長に気づく力を育むことで、有能感が高まり、自信と継続的な学習意欲が生まれます。

次章では

T – Team up with respect(尊重を持って協働する)の実践方法をお伝えします。心理的安全性を築き、関係性を深める具体的な方法を学んでいきましょう。

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