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【Vol.15】VUCAワールド 〜リスクを取らないリスク〜

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心の旅:前回前々回の流れを整理すると、マルチタスクやワークライフ・バランスの有効性を検証してきましたよね。

ソラ:認知上の役割転換という脳の機能やワークライフ・インテグレーションという働き方もなかなか勉強になったわね。

Mr. SIY:ここまでの話しをどう感じましたか?

ソラ:私たちの働き方は脳のパフォーマンスを下げてしまっているのかもしれないと感じました。

心の旅:同感です。それと本当にやることが多くて忙しい環境に身を置いてるんだなあと感じました。

ソラ:そのような世界をブカワールド?と呼ぶんでしたっけ?

心の旅:そうそう、今回のテーマですよね。VUCAワールド。

Mr. SIY: はい。VUCAワールドは、変化が激しくて将来を予測するのが難しい世界のことです。元々はアメリカの陸軍が作った造語で、リーマンショック以降にビジネス用語としても使われるようになりました。

心の旅:VUCA。何かの頭文字でしょうか?

Mr. SIY:そうです。VはVolatileです。

心の旅:Volatilityとかのことでしょうか。証券市場では、変動率とかって言われたりもします。株価の値動きが激しいと「ボラ(Volatilityの略)が高い=変動が激しい」とかって言ったります。

Mr. SIY: お、さすが金融マンですね。そうです。Volatileは、変動が激しいという意味ですね。情報が溢れていて、刻一刻と状況が変わり、変化が激しい状態を表現しています。技術進化のスピードや、マーケットニーズの多様化などで世の中はますます変化が激しくなってきてますね。

心の旅:世の中のボラが高まってるってことですね。

ソラ:VはボラのVolatilityね。では、Uは何でしょうか。

Mr. SIY: UはUncertainです。

ソラ:Certainが確実ってことだから、Uncertainは不確実ってことかしら。

Mr. SIY:そうです。グローバル化の進展に伴い、価値観が多様化する中で、過去の経験や成功体験が必ずしも通じなくなってしまい、今まで通りにやっていても上手くいかないことも増えてきています。絶対的なやり方が存在しない不確実性が高い中で、難易度の高い選択を迫られることが増えています。これからはいかにリスクを取っていくかが人生も会社も大切になっていくでしょう。リスクを取らないことがリスクになってきているかもしれません。

ソラ:リスクを取らないリスク。う〜ん、考えたことなかったなあ。不確実性が高まればリスクも高まる、というのは分かる気がする。

心の旅: 確かに絶対大丈夫という安心感みたいなものはあまり感じられないなあ。大企業でも大幅なリストラが行われたり、AIの台頭やジョブ型の導入で雇用の流動性は高まりそうだし。

ソラ:リスキリングもしなきゃだしね。なんだか、難しい時代を生きている感じがしてきたわ。Cはなんの略ですか?

Mr. SIY: CはComplexです。複雑、ですね。

ソラ:複雑かあ。確かに情報化社会とかネット社会って便利でいろんな人に繋がれる分、色々な人間関係も生まれてきて、関係性の維持や発展をさせていくのが大変なのよね。できればシンプルに生きたいわ。

心の旅: 会社の中では社内政治があるしなあ。人間関係には色々悩まされます。関わる人が増えれば増えるほど、複雑になっていきますよね。

Mr. SIY: 環境問題や食料問題、二極化問題、富の再分配、金融正常化、財政安定化、教育システムや資本主義社会。世の中の仕組みや制度、体制など、解決すべき様々な問題が横たわっていますね。

心の旅: SDG’sやESGなどが議論されていますが、解決への道のりは本当に複雑ですよね。

ソラ:傍目で見てても合意形成が本当にできるのかしら、って思ってしまうものね。今回のコロナ騒動では、国境封鎖とかロックダウンとか、今まで無理って言ってたことが、ウイルスの脅威に晒された途端、あっという間にできてしまったところとか見ると、今までの無理って言ってたのが口実のように感じられてきて、以外にシンプルだったりするのかしらと思えてきたり。私の気持ちが複雑になってきたわ、笑。

Mr. SIY: 今回のコロナの一件では、多くのことが試されていますよね。いわゆるウイルスという外敵を前にして、人間が一致団結しているというか。ここから私たち人間は何かを学ばなければならないのかもしれませんね。

ソラ:子供達が学校に行けないっていうのは、衝撃的でしたね。私たちの常識が根底から覆された感じでした。

心の旅:確かに、親御さんがいない中での卒業式とか、寂しすぎですよね。世の中も心の中も複雑です。聞くのが怖くなってきましたが、最後のAはなんでしょうか。

Mr. SIY: AはAmbiguousです。

心の旅:アンビギュアス。アンビシャスじゃなくて?

ソラ:いくつになっても大志は抱きたいわねえ、笑。

Mr. SIY:アンビギュアスは曖昧性という意味です。変化が激しく、不確実で、複雑な世の中は、不明瞭でとにかく曖昧です。将来設計を立てようにも、安定して仕事が続けられるかも分からない、給料が上がるかも分からない。新しい技術が入ってきて、多様化する価値観に応えるには、経験だけではチームをまとめることが難しくなってくる。子供を産んでも預けるところがなかったり、思い通りの職に就けない、経済的な負担が増してしまう。子供たちにどんな教育を受けさせるのが良いのか。将来が見通せない中で、自分の人生を全うするために、子供達の将来のために、どんな選択をしたら良いのか、VUCAワールドに生きる私たちは、今、袋小路になっているのかも知れません。

心の旅: 分かるなあ。確かにVUCAワールドに生きてる感じがする。目の前の仕事をやっていても、本当にこのままでいいのかなって感じるし。

ソラ:VUCAワールド、一寸先は闇って感じ。

Mr. SIY:そのようなVUCAワールドをいかに生きていくのがいいのか、疑問に感じたり、迷ったりしている人が多くいます。サーチ・インサイド・ユアセルフでは、そのような人たちに対して、自分の人生のリーダーは自分自身ですよ、というメッセージを送っています。

心の旅: 自分の人生のリーダーは、

ソラ:自分自身。

二人:それです。私が、求めてるのは。

ソラ:ハモった、笑。

Mr. SIY: お二人の息がぴったりですね。サーチ・インサイド・ユアセルフでは、リーダーシップを社長だからとか部長だからとか、肩書きと紐づけて考えていません。もちろん組織の長としてのリーダーシップを軽んじるわけではありませんが、その前に私たちは自分たちの人生においてリーダーシップを発揮しなければならない時があると思います。VUCAワールドにおいて、どのように生きるかというのは、自分自身が選択していかなくてはなりません。

ソラ:リーダーシップの意味が今までと違うように見えてきました。

Mr. SIY:一昔前ならば、いわゆる既定路線で、大学を卒業して、安定した雇用のもとで終身雇用で同じ企業に勤め上げるという人生設計ができていましたが、今やそれは神話です。40代、50代の方々はこのことを頭でわかっていてもなかなか受け入れるのが難しいのではないでしょうか。今までの常識が突如通用しなくなるわけですし、それなりの年月を生きてくれば安定を求める傾向が強くなる中で、今から新しい生き方を模索しましょうと言っても、ピンとこないのが正直なところでしょう。再雇用制度では、今まで自分の部下が自分の上司になるといった下克上のような状況の中で働くことを受け入れられない人も多くいるようです。

心の旅:知り合いのメガバンクの支店長のことを思い出しました。以前なら支店長まで行けば、「上がり」と言われ、その後は融資先や関連会社の社長や役員のポストが充てがわれて、退職という流れでしたが、今ではその勤め先を会社で用意することができなくなって、自分で再就職先を探してるって言ってました。支店長といえども、安泰ではなくなってきているというのは、メガバンクの常識も大分変わってきた気がします。

ソラ:ネット銀行や暗号通貨なども出てきて、銀行や金融機関はこれからますます厳しくなりそうよね。

心の旅:情報や環境に翻弄されるのはそろそろ卒業したいですね。自分の人生、リーダーシップを発揮して、VUCAワールド乗り越えたい。

Mr. SIY:いいですね。次回はVUCAワールドを生きる私たちの心の傾向を見ていきましょう。

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